八ッ場ダム訴訟 千葉も不当判決
〜東京地裁判決を引き写し〜
八ッ場(やんば)ダムをめぐる住民訴訟で千葉地裁(堀内明裁判長)は(2010年)1月19日、原告の訴えを退ける判決を言い渡しました。
これは、国が群馬県長野原町で計画している同ダムの建設事業に千葉県が支出するのは違法として、県民51人が県知事らに過去に支出した負担金の返還などを求めていた訴訟です。
八ッ場ダム住民訴訟は、東京都、群馬、埼玉など1都5県の住民が一斉に提訴しています。千葉地裁判決は、東京、前橋、水戸に次いで4件目です。
過去3件はいずれも住民側が敗訴しています。しかし千葉判決は、政権交代直後に前原誠司国土交通相が八ッ場ダム建設中止を表明して以降、初の司法判断です。そのため、大きな注目をあびました。大法廷の傍聴席98席をはるかにオーバーするたくさんの人が傍聴に訪れました。抽選にはずれて傍聴できなかった人が続出です。
しかし、判決は原告の訴えを退けました。堀内裁判長は判決理由で「県の水需要予測が明らかに不合理とまでは認められない。治水効果がないとも言えない」として、県などの判断は違法ではないと述べました。
■裁判所の姿勢はまったく変わっていない
判決後の報告集会では、8人の弁護士さんのほか、原告や支援者から判決を批判する声が相次ぎました。
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「東京地裁の判決を引き写したもので、“コピー判決”あるいは“談合判決”である」
「東京地裁の判決をもとに県側の主張をうのみにし、私たちの訴えをきちんと見ていない。残念だし、腹立たしい」
「行政の裁量の裁量を最大限に認めており、不当判決だ」
「水需要の予測値が実態とかけ離れていることは明白な事実だ。だから判決は、八ッ場ダムが必要とは言えないので、“水需要予測の予測値が明らかに不合理であるとまではいえない”というように、もってまわった言い方でごまかしている」
「政権交代で状況が大きく変わり、前原国土交通相が八ッ場ダム中止を表明している。ところが、裁判所の姿勢はまったく変わっていない」
「破壊された自然は二度と戻らないのに、行政の恣意(しい)を認める姿勢の判決だ。国民を愚弄しており、たいへん失望した」
「不当判決にがっかりしたが、これを怒りにかえ、今後もがんばっていきたい。判決内容は、危ういところも数多くみられる」
当然のことながら、原告団は東京地裁に控訴します。
たくさんの人が傍聴に訪れた
判決後、原告団は「不当判決」の垂れ幕を掲げ、シュプレヒコールを上げた
報告集会で判決の不当性を訴えた弁護団
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