ムダな公共事業をやめさせるために
〜八ッ場ダム住民訴訟千葉集会〜
「八ッ場ダム住民訴訟千葉判決の勝利をめざして 千葉集会」と題した集会が(2009年)7月25日、千葉市内で開かれました。
概要は、次のとおりです。
(1)基調講演「今なお土建・官僚国会、日本を変える市民の環境戦略」
………………青山貞一氏(環境行政改革フォーラム代表幹事、
東京都市大学環境情報学部教授)
(2)東京裁判の報告「東京地裁(2009年5月11日)の検討」
………………深澤洋子氏(八ッ場ダムをストップさせる東京の会代表)
(3)千葉裁判の報告「八ッ場ダム千葉地裁裁判について」
………………広瀬理夫氏(八ッ場ダム住民訴訟千葉弁護団)
(4)意見交換「私たちにできることは」
■日本は世界に類をみない「土建・官僚国家」
青山貞一氏はこんなことを話しました。
- 日本は、「政官業学報」(政治家、官僚、業者、御用学者、報道機関<御用メディア>)の癒着による“利権国家”あるいは“土建国家”となっている。
- 世界の先進諸国における公共事業費は、総額と対GDP比のいずれにおいても、日本が断トツに多い。
- このような日本の異常な土建体質、すなわち「政官業学報」による土木系公共事業の推進は、世界に類をみないほど国・自治体の借金(累積債務)を膨らませている。その額は、国・自治体をあわせて1000兆円になろうしている。
- 日本には現在、99カ所の空港がある(都道府県平均で2カ所)が、日本と同じ面積の米国のカリフォルニア州には16カ所しかない。いかに日本の空港が異常に多いかがわかる。しかも、日本は、99カ所の空港のほとんどが赤字である。
- このような日本の土建公共事業依存体質は、高速道路、高規格道路、一般道路などの道路にはじまり、八ッ場ダムに象徴されるようなダム、空港、広域農道、スーパー林道、漁港整備などにおよんでいる。
- 八ッ場ダムは、ダム本体がまだ着工されていないのに、道路や鉄道などの関連工事がどんどん進み、そこに莫大な税金が湯水のように投入されている。ダムを造りたいというよりは、そこにカネをつぎこみたいだけ、という感じがする。
- 日本は「官僚社会主義国」である。役所(官僚)がすべてを牛耳り、立法府や政治も思いどおりに動かしている。政治や政治家は本来の役割を果たしておらず、国・自治体の行政が好き勝手にやりたい放題をしている。本来、国民・住民のために身をていして努力すべき役人が、なぜか日本では税金を浪費し、本来すべきことをせず、「政官業学報」の利権の構造の中核をなしている。
- 国民が政治を忌み嫌ったりバカにしていては、こうした構造を変えることはできない。たとえば環境行政を改革し、環境問題の解決を志す者は、日本の政治を根底から改革する強いミッション(理念・信念)、パッション(情熱)、アクション(行動力)をもたなければならない。
■千葉地裁の判決は12月22日
深澤洋子氏は、5月11日の東京地裁の判決がいかに不当であるかを述べました。
判決文は、国交省の言い分や裁量権をすべて認めています。その一方で、原告(住民)に対してはハードルをものすごく高くしたり、原告の主張にいちいちケチをつけています。たとえば、原告が提示した調査データに対し、「八斗島(やったじま)上流部の全てを調査したものでない」とか、「カスリーン台風時の八斗島上流部での氾濫流量が毎秒1000立方メートルであったことを認めるに足りる的確な証拠はない」などとしているのです。
広瀬理夫氏は、今年12月22日に千葉地裁で判決が下される千葉の裁判の特徴などを話しました。
千葉県は、審理途中で水需給予測を変更するなど、不誠実な訴訟態度をとっていること。県の一般会計の借金(県債残高)は、2008年度末で2兆5055億円(県民1人あたり約41万円)にのぼる。そういう中で八ッ場ダムへの県負担は403億円に増えており、このままでは県民の水道料金の大幅値上げが必死であること──などです。こういう点を千葉地裁がどのように考慮するかも焦点になっています。
以上です。
八ッ場ダム住民訴訟千葉判決の勝利をめざして 7・25千葉集会
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