いのちを大切にしたいから八ッ場ダムに反対です
日本消費者連盟 富山洋子
「八ッ場ダムを考える現地交流会」(2003年9月6、7日)における富山洋子さん(日本消費者連盟代表運営委員、千葉県浦安市在住)の発言を紹介します。
富山洋子さんの発言(要旨) |
私たちが八ッ場ダムに反対しているのは、全国自然保護連合の決議にあるように、さまざまな理由からです。
私は、きょう早めに来て吾妻渓谷などの美しい自然に接し、八ッ場ダム反対の意をいっそう強くしました。
しかし、それは単にこの周辺の自然を守りたいためだけではありません。ヒトは環境に生かされている生き物のひとつです。八ッ場ダムの水底に沈められようとしている地域では、その環境に包まれたヒトをはじめ、多くのいのちが息づいています。そして、その環境を拠り所にした人々の暮らしがあり、人々はその暮らしの中で糧(かて)を得ていのちをつないでいます。
私はヒトをはじめとするいのちを大切にしたいから八ッ場ダムに反対しています。単なる動物保護からではありません。ダム建設は「公共」の名の下に莫大な金をつぎ込み、環境、いのち、暮らしを破壊するものです。私は、八ッ場ダムに私たちの税金を拠出している千葉県民としても反対です。
そこに暮らす人々が必要としている設備は、八ッ場ダムの建設にかかわりなく整備されるべきです(ダム同様、不必要なものは拒否すべきですが)。地域の人々が暮らしの中で必要としているものをきちんと整えていくことこそ政治の課題です。地域の必要欠くべからざるインフラが整備されていないことを問題にすべきです。
ダム予定地とされていることが過疎化を促している要因のひとつであると考えますが、ダムが建設されてしまえば、過疎化はさらに進み、ダムと一体となって整備されたインフラも無用の長物となってしまうでしょう。
ダムにムダな投資をするかわりに、地域の活性化のための投資をさせていくことが大切です。ダム建設と一体となった地域の活性化はありえません。
私たちは、ここで皆様方と忌憚のない意見交換をする機会を得て、皆様方が暮らしておられる地域のおかれている状況や皆様方のお立場を、十分とはいえないまでも理解いたしました。
今後も腹を割った意見交換をして、さらに意思疎通したうえで、私たちも国土交通省と話し合う場を設定し、都市住民として八ッ場ダム反対の意思表示をしていきたいと思います。それが皆様方の願いと重なっていくことだと思います。できましたら、皆様方とともに交渉の場に座りたいと思います。
(2003年9月)
吾妻渓谷
★関連ページ
- 八ッ場ダムを考える現地交流会(2003/9/6、7)
- 八ッ場ダム事業の中止を求める決議〜全国自然保護連合
- 「ダムの底に沈まなかった川原湯温泉」にしたい(佐藤聰子)
- 八ッ場ダム事業で国交省は税金を湯水のごとく使っている(牛野くみ子)
- 習志野市議会が八ッ場ダム事業の見直しを求める意見書を採択
- 佐倉市議会が八ッ場ダム事業の見直しを求める意見書を採択
- 八ッ場ダム関連の石灰液注入現場を見学
- 長野の“脱ダム”の意味を各地で生かそう!〜八ッ場ダムを考える会が講演会(2002/10/19)
- 八ッ場ダム負担金支出中止を千葉県に要望(2002/6/21)
- 八ッ場ダムは要らない、今からでも遅くない〜ダム建設予定地を見学
- シンポジウム「八ッ場ダム問題を考える in 千葉」(2002/3/24)
- 八ッ場ダムは疑問だらけ〜“首都圏最後の水がめ”を見学
- 手をつないで守りたい〜八ツ場ダム計画の川原湯温泉を訪ねて
- ダム建設で水没予定の吾妻渓谷と川原湯温泉
このページの頭にもどります
「八ッ場ダム」にもどります
トップページ | 三番瀬 | ニュース | 自然・環境問題 | 房総の自然 |
環境保護団体 | 開発と行財政 | 自然保護連合 | 書籍・書評 | リンク集 |