八ッ場ダム事業を見直し、水没予定地の再生を

〜「八ッ場あしたの会」がシンポジウム〜




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 2007年11月4日、「ダムに負けない村〜八ッ場から地域の再生を考える」と題するシンポジウムが東京で開かれました。主催は「八ツ場あしたの会」です。
 八ッ場(やんば)ダムは、群馬県長野原町の吾妻川に計画されている巨大ダムです。

 第1部のテーマは「ダムが破った約束〜八ッ場の現状と課題」。パネリストは加藤登紀子(歌手・国連環境計画親善大使)、石川理夫(温泉評論家)、関口茂樹(群馬県議・元鬼石町長)の3氏です。
 八ッ場ダムが利水・利水両面でまったく必要でなくなっていることや、人口流出が続く水没予定地が衰退の一途とたどっていることなど、さまざまな問題点を話し合いました。

 第2部は「よみがえれ、ふるさと!─八ッ場発地域崩壊を乗り越えるために」です。加藤登紀子(前出)、大西暢夫(映画監督・写真家)、保母武彦(島根大学名誉教授)、矢上雅義(川辺川ダム予定地の熊本県相良村村長)のパネリスト4氏が、八ッ場ダム事業の見直しや川原湯温泉の再生策などについて活発に意見を交わしました。

 討論のあとは、4党の国会議員が、八ッ場ダム事業見直しや現地再建支援などに向けた決意表明をしました。大河原雅子(民主党、参院)、塩川鉄也(共産党、衆院)、田中康夫(新党日本、参院)、日森文尋(社民党、衆院)の4氏です。

 最後に、「私たちは、八ッ場ダム事業の見直しと、水没予定地再生のための法整備を求めます。今こそ『八ッ場』からスタートし、全国各地に、“ダムに負けない村”を広げていきましょう!」とするアピールを採択しました。
 以下は、アピールの全文です。



アピール



「八ッ場」発 全国各地に“ダムに負けない村”を!



 日本の国土は、その3分の2が緑豊かな森に恵まれた上流地域です。私たちの祖先はそこから暮らしの糧を得て、孜々営々(ししえいえい)と命を紡ぎ、命を繋いできました。そこに今、「地域崩壊」という妖怪が徘徊し、「上流」は喰い潰されようとしています。

 その妖怪たちの最大の活力源は巨大ダム建設です。ダムは水没予定地の人々に多大な犠牲を強いながら、上流の山村も下流の都市をもうるおす“一石二鳥の上策“というお題目のもと、日本全国の中山間地で建設が推し進められてきました。1952(昭和27)年に計画された、首都圏最後の巨大ダム事業、八ッ場ダムはその象徴的存在です。

 しかし、ダムは、お題目どおり、本当に上流も下流もうるおしたのでしょうか? その答えは、半世紀にわたる苦渋に満ちた八ッ場の歴史が教えています。ここ八ッ場にもついに、「地域崩壊」という妖怪が徘徊しはじめました。川原湯温泉をはじめとする水没予定地では、住民らがダム計画に翻弄されながら温泉街の再生をめざしてきましたが、いまだに未来が見えません。このままでは、800年の歴史を誇る川原湯温泉は、豪壮で知られる湯かけ祭りをはじめとする祭礼の維持すら難しくなるのではないか、と危ぶまれています。

 一方で八ッ場の「地域崩壊」は、日本の人口の4分の1をしめる首都圏約3000万人の下流の人々にとっても、深刻きわまりない問題です。上流の人々がそこに暮らしているからこそ、豊かな環境も美しい景観も守り育てられているからです。上流の人々の営みが失われてしまっては、やがては下流の営みも干乾(ひかわ)びます。上流を喰い潰した妖怪たちは、やがては下流にやってきて、町を、都市を、喰いつぶすことでしょう。

 本日のシンポジウムで明らかになったのは、このまま八ッ場の「地域崩壊」を許せば、取り返しのつかないことになるということです。しかし、今ならぎりぎりまだ間に合う。 今こそ私たちは、上流と下流が繋がり支えあう「共生の道」を探らねばなりません。 八ッ場を「地域崩壊のシンボル」から「地域再生のシンボル」へ反転できれば、それは必ずや、日本全国の地域に活気を呼び戻す、確かなきっかけとなるでしょう。そのために、本日共有された「想い」と「希(こいねが)い」をこめて、「上流と下流の共生」へ向けて、一歩を踏み出そうではありませんか。

 ここに私たちは、八ッ場ダム事業の見直しと、水没予定地再生のための法整備を求めます。今こそ「八ッ場」からスタートし、全国各地に、“ダムに負けない村”を広げていきましょう!

 2007年11月4日

シンポジウム「ダムに負けない村─八ッ場から地域の再生を考える」参加者一同








「ダムに負けない村〜八ッ場から地域の再生を考える」と題したシンポジウム







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