鬼泪山国有林の山砂採取で200億円の喪失
〜千葉県土石採取対策審議会〜
富津市の鬼泪山国有林の山砂採取をめぐる第23回「千葉県土石採取対策審議会」(土石審)が(2010年)2月9日、千葉市内のホテルで開かれました。
傍聴者は130人です。じつは、250人を超える県民が往復葉書で傍聴を希望していました。抽選の結果、多くの人が傍聴不可となりました。
■鬼泪山国有林の価値は年間4億円
今回の審議会は、議論が白熱しました。3つの市民団体(鬼泪山「国有林」の山砂採取に反対する連絡会、鬼泪山の国有林を守る市民の会、安房・鬼泪山国有林を守る会)が提出した「鬼泪山国有林の山砂採取に反対する見解」を事務局(県)が読みあげ、それをめぐってさまざまな意見が交わされたからです。
「見解」はとてもすぐれた内容です。山砂採取の問題点を理路整然と述べています。項目は次の4点です。
- 富津市の水道水と灌漑用水が打撃を受ける可能性がある
- 地域の気象・気候が変わる可能性がある
- 鬼泪山国有林の自然環境の保全機能や資産価値も喪失する可能性がある
- 国有林を犠牲にするほどの価値のある公共事業が、いま、千葉県ではみあたらない
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「日本の森林は年間80兆円ぐらいの便益があるというふうに言われている。日本の森林面積は2500万haなので、単純に面積比で試算してみると、この国有林104・105林班等の開発面積(約140ha)にあわせると、年間で4億円あまりになるかと思う。もちろん、これ以外にも貨幣価値に換算できない機能がある」
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「鬼泪山国有林からの山砂採取計画では、採取を50年間つづけることになっている。ということは、年間4億円×50年=200億円の喪失になる」
事業者(きなだ国有林同業会)が県に提出した計画書では、採取後に跡地整備を行い山林に復元するとなっています。しかし、少なくとも50年間は200億円の森林価値が喪失するということです。
■自民党4県議が文句
一方、委員全15人の多数を占めているのは採取推進派(自民党県議4人、山砂採取関係業界3人など)です。推進派委員は採取の必要性を盛んに主張しました。「山砂採取が枯渇しつつある中で、山砂の安定的供給が必要である」「山砂採取は地元の主産業となっている」などです。
とくに自民党県議の4人は、3市民団体の「見解」や県の見解にさかんに文句をつけました。県の見解というのは、「国有林からの山砂採取は、県の発展に関連の深い公共性の高いプロジェクト(公共事業)に使用する場合以外は認めていない。現在、そのような事業は存在しない」というものです。
■次回審議会での検討事項を会長に要望
議論が白熱したため、午後1時30分からはじまった審議会は予定時間を30分延長し、午後4時に終わりました。
そのあと、3つの市民団体は会合を開き、議論の問題点や今後の対応を議論しました。
議論の結果、次回の審議会で検討してほしい事項を整理し、それを土石審の会長に提出することになりました。
鬼泪山国有林。その手前にあった浅間山は、山砂採取
によって9年間で跡形もなくそっくり削り取られた。
★関連ページ
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