追原を歩く会事務局長 北澤真理子
1997年の12月、七里川渓谷に追原ダムをつくる計画を知りました。私たちの大事な追原が水の底に沈んでしまう。春先に赤い灯をともして咲くフサザクラも、ほたるが湧き、カジカやハヤの群れている美しい渓谷も。
何とかして追原を守りたいと、1カ月後に「歩く会」を結成。2月に第1回の「歩く会」を行いました。あの日、南房総にはめずらしく雪が降り、追原は雪化粧をして私たちを迎えてくれました。「こんな景色だってあるんだよ。だから守って。」と訴えているようでした。「追原宣言」を採択。追原に住む言葉を持たない生きものたちの代わりに追原を守る運動が始まりました。
とにかく、たくさんの人たちに追原を知らせたい。知ったらだれもがそこを残したいと思うにちがいない。私たちはそう考え、あらゆる機会に追原を知ちせる活動をしてきました。そして、たくさんのみなさんと手をつなぐことができました。
三番瀬、藤前干潟、海上の森、そして吉野川第十堰。いろいろな集まりで各地で自然を守る運動をしている方たちに出会うたびに、自然保護の運動がすでに点から面に変わっているうねりのようなものを感じていました。
政府与党の公共工事見直しの動きは私たち市民の運動のうねりに押されてのことと、確信をもって皆さんに報告することができます。
追原を守りたい、その思いだけで始めた私たちの運動に、たくさんの方が手をさしのべて助けてくださいました。
いろいろなグループの方が追原を訪ねてくださいました。初めて出会ったみなさんと七里川の河原で遊んだのも楽しい思い出になりました。
署名を集め、写真や短歌を寄せてくださり、テレビや新聞で取りあげてくださった皆さん、自然観察会や写真展にきてくださった皆さん、いろいろ知恵を授けてくださった自然保護運動の先輩の皆さん、いつも力強い協力を惜しまなかった勤労者山岳連盟の仲間たち、終生の友となった「小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会」の皆さん、本当にありがとうございました。千葉県がこの判断を受けて、追原ダム全面中止を発表する日も間近のはずです。
(2000年9月)
訴える言葉も慣れて追原ダム反対運動3度目の秋
紅葉の七里川渓谷
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