小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会

七里川渓谷の追原ダム建設計画で

再び、東大演習林 林長に要請

〜ダム建設のために演習林を譲渡しないよう求める〜



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 2000年2月14日、小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会の佐野今朝雄代表ほか幹事3名は、東京大学演習林に対し、ダム建設のために演習林を譲渡しない旨を要請しました。これは、演習林の責任者である林長が交替したこともあり、昨年以来2回目となります。
 林長を兼務する東大農学部・山本博一教授は、当然のことながら、地域住民の声をよくとらえており、最大の要求である2車線道路の建設については理解を示していました。
 私たち連絡会は、人口の大幅な増加が見込めないことから水道水の需要が鈍化していること(このことから、公共事業の再評価監視委員会は昨年8月、ダム建設に待ったをかけた)、台風災害の予防策として、ダム建設よりゴルフ場や山砂採取による裸同然の山に早急に植林して緑のダムの面積を拡大することの必要性など、さまざまなデータを示し、ダムの必要性のないことを訴えました。これらのことについて、同教授は一定の理解を示してくれました。
 連絡会は今後、県や市町村議会が終了する3月下旬、各行政、事業評価監視委員会委員に直接会見し、要請を強めていきます。
(御簾納照雄)




要 請 書



2000年2月16日
 東京大学 農学部附属千葉演習林
      林長 山 本 博 一 様

小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会
代 表  佐 野 今 朝 雄


要 請 書

 世界的に環境破壊が進むなか、森林の重要性が強く認識されるようになってまいりました。そのような中での千葉演習林における試験研究に基づく管理・運営に敬意を表する次第です。
 さて、私たち「連絡会」は、1998年11月、県内の環境保全を目的とする4団体によって設立され、現在、小櫃川源流城の自然を守り育むことを目標にさまざまな活動を実施しております。そこで下記のように要請致したくお願い申し上げます。


要 旨

 千葉県内随一の豊かな自然環境や渓谷美を形成している小櫃川の源流城、七里川渓谷へのダム建設計画のために、千葉県民の宝ともいうべき千葉演習林を譲渡しないことを要請致します。


理 由

 ダム建設計画付近の黄和田畑から四方木地区にかけては、千葉演習林なども広がり、貴重な動植物の宝庫となっております。氷河期の名残とされるヒメコマツ、モミ、ツガ等の自然林や原生林、またフサザクラ、ケヤキ、クマシデなど、野鳥ではヤマセミ、オオルリ、ヤブサメ、センダイムシクイ、ハイタカ、オオタカ、水生動物ではナミウズムシ、カゲロウ、カワゲラ、トビケラ、ヘビトンボ、ギバチ、カジカガエル、サワガニ、蝶類ではオオムラサキ、ミドリシジミなど枚挙に暇がありません。これらのことは演習林のパンフレットにも詳細に記されているとおりです。
 ダム計画が明らかになった現在、多くの生物学者から「ダム建設により動植物相の大きな変化が予測される。千葉県民の宝ともいうべき地域を守ってほしい」という声がますます高まっております。また、小櫃川の下流域木更津市で汲み上げられ供給される木更津、君津、袖ケ浦、富津、市原、千葉市民の水道水としての水質の低下も心配されます。さらに建設費が260億円と試算されていることから水道料金の値上げなどの跳ね返りも懸念されるところです。
 県はダム建設の目的に水需要の増加と治水を挙げておりますが、周辺人口は数年前から減少傾向にあり、各市は将来人口予測の大幅な下方修正をしているところです。また昭和45年(亀山ダムができる以前)以来、目立った洪水・渇水は発生しておりません。
 また、昨年、千葉県都市河川環境管理協議会のまとめた小櫃川河川環境管理基本計画の管理方針には、ダム建設予定地及びその周辺を「自然の宝庫であるため、水質や自然環境の保全を基本として河川空間を管理する」とあります。県内の河川関連部署のほとんどが参加して合意に至ったものであり、県立公園であることも合わせて考えると、この方針は最も尊重されるべきものです。
 さらに昨年8月、県の公共事業の有効性を検討する「評価監視委員会」は、追原ダムについて『条件付継続』で一致しています。
 以上のような理由から小櫃川の源流域、七里川渓谷へのダム建設のために千葉演習林を譲渡しない旨、重ねて要請致します。




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