エコテック産廃処分場設置を千葉県がやっと不許可

〜暴力団関連企業が融資〜




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 旧海上町(現旭市)と銚子市、東庄町にまたがる産業廃棄物最終処分場をめぐる問題で、千葉県は2013年1月28日、暴力団関係企業から融資を受けていたとして、事業主のエコテック(千葉市中央区)に対し設置を不許可にしたと発表しました。
 エコテック社は3市町にまたがる約6万2000平方メートルに産廃の管理型最終処分場を設置する申請を出していました。

 県によると、同社は1998年から2011年にかけて、暴力団員の関連企業からダミー会社を通し融資を受けていたことが裁判記録などから判明しました。融資額は2億5千万円です。

 この産廃処分場をめぐっては、住民が設置許可の取り消しを求めて県を相手取って提訴しました。長年にわたる裁判の結果、東京高裁の取り消し判決が確定しました。ところが県が業者に申請書類の追加提出を求めたため、処分場設置許可に向けた審査が再開していました。暴力団関係企業からの融資は、反対住民側弁護団の調査がきっかけで判明しました。

 不許可処分について、県はこう発表しました。
    《(株)エコテック(代表取締役龍野英紀)から提出された産業廃棄物処理施設設置許可申請について、廃棄物処理法の許可基準に基づき審査したところ、申請者は、長期間にわたり暴力団員の関係企業から間接的に融資を受けていたことが判明しました。
     また、申請者から平成17年及び平成18年に提出された申立書に虚偽の内容が含まれていることが明らかになりました。
     このことから、申請者は、廃棄物処理法第14条第5項第2号の欠格要件に該当すると判断し、本許可申請については、平成25年1月28日付けで不許可処分としました。》

 不許可処分の理由はこうです。
    《(1) 産業廃棄物最終処分場計画用地の抵当権の登記について争われた民事訴訟の記録から、(株)エコテックは、長期間にわたり暴力団員の関係企業から複数の関係者を通じて間接的に融資を受けていた関係にあったことが判明しました。これは、廃棄物処理法第14条第5項第2号ヘに定める欠格要件である「暴力団員等がその事業活動を支配する者」に該当します。
    (2)(株)エコテックは、平成17年2月4日及び平成18年6月14日付けで提出された申立書において、欠格要件の「法人で暴力団員等がその事業活動を支配する者」に該当しないことを申し立てていますが、訴訟記録によれば、暴力団員の関係企業からの融資については、申立書が提出された時点では返済が完了していないため、虚偽の申立てをしたと認められます。これは、廃棄物処理法第7条第5項第4号ト「業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に該当することから、同法第14条第5項第2号イに定める欠格要件に該当します。》



〔『毎日新聞』千葉版、2013年1月29日〕

旭などに計画の産廃最終処分場 県が不許可に
エコテック、暴力団と融資で接点

 千葉市の産廃処理業者「エコテック」が1998年から県に最終処分場の設置許可を求めていた問題で、県は28日、同社が暴力団の関係企業から間接的に2億5000万円の融資を受けていたとして、廃棄物処理法に基づき不許可処分にしたと発表した。融資は設置申請したころから始まっていたが、県は審査で見抜けず、問題は長期化した。県の審査のずさんさを指摘する声も上がっている。暴力団との関係を理由に産廃処分場の設置申請が不許可となるのは県内初。

◆「ずさんな審査」批判も

 県廃棄物指導課によると、同社は1998年、旧海上町(現在は旭市)などにまたがる土地に処分場建設を計画し、設置許可を県に申請。県は2001年に設置を許可したが、環境影響を懸念する地元住民が同年、県に対し、許可取り消しを求め千葉地裁に提訴。地裁は住民側の訴えを認め、東京高裁もこれを支持。最高裁が上告を受理せず、2010年、許可取り消しが確定した。
 ところが、県はその後、「手続き的な瑕疵(かし)による取り消しで、許可申請は残った状態」などとして再審査する準備を進めていた。

 一方、同社は建設予定地の抵当権を巡る民事訴訟を債権者から起こされており、県はそうした裁判資料の提出を同社に求めたところ、資料の中から暴力団企業とのつながりが新たに判明。同社は暴力団の関係企業から受けた融資をダミー会社を介して受け取っていたという。融資は計画が具体化した1998年から始まり、総額2億5000万円に達した。廃棄物処理法は「暴力団員等」が「事業活動を支配する者」だった場合、その事業を不許可とする規定がある。

 審査で見抜けなかったことについて、同課は「隠れていて把握できないものもある。暴力団排除に向け、今後はさらに丁寧に調べたい」と説明した。

 反対住民側の弁護を担当した及川智志弁護士は「登記をしっかり調べれば不審な点は見抜けたはず。形式的な審査しかしていなかったと批判されても仕方がない」と指摘した。及川弁護士によると、処分決定を聞いた反対住民らは「長年の苦労が報われた」と話しているという。



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