高裁判決を尊重し、上告断念を!

〜産廃反対東総住民連絡会が県に申し入れ〜




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 産廃反対東総住民連絡会は(2009年)5月26日、エコテック産廃処分場設置許可をめぐる東京高裁判決に県が上告しないよう求めて申し入れ交渉を行いました。以下は、やりとりの概要です。
    《出席者》
     ●県 側
      ・環境対策監
      ・廃棄物指導課産業廃棄物指導室長
      ・同室主幹
      ・ほか2人

     ●住民側:30人


 最初に、同連絡会事務局の高田豊さんが「東京高裁判決を尊重し、上告を断念してください」との申入書を読み上げました。
 そのあと、やりとりです。


■「上告するかどうか、まだ決めていない」

◇住民(高田)
 高裁判決を県はどう受けとめているのか。

◆県(環境対策監)
 一審、二審とも、県の主張が退けられたのは事実である。

◇住民(高田)
 上告の期限は6月3日だ。私たちは一審判決のあと、にがい思いをした。控訴しないよう求めるたくさんの署名を提出し、県は地元住民の願いを受け入れて控訴しないだろうと思っていた。ところが、私たちの願いを裏切って控訴した。こんどはどうするのか。上告するのか。

◆県(環境対策監)
 環境省と相談中であり、どうするかまだ決めていない。

◇住民(高田)
 上告はしないでほしい。

◆県(環境対策監)
 その気持ちはよくわかる。

◇住民(高田)
 上告しないということをなぜ決められないのか。

◆県(室長)
 県側からみた場合、高裁判決は肩すかしをくった形になっている。一方、地裁(一審)の判決理由は誤りがあった。だから、堂本知事は苦渋の決断をして控訴した。

◇住民(高田)
 判決は、県の判断に瑕疵(かし)があったとしている。

◆県
 そのことは認める。しかし、県は環境省の見解を確認しながら判断した。


■「住民の立場に立ち、上告はやめるべきだ」

◇住民
 判決は明らかに県の間違いを指摘している。したがって、県は間違ったことをやったということを素直に認めるべきだ。

◇住民(高田)
 上告するかどうかについてだが、どういう方向で検討しているのか。判決のどこに不服があるのか。

◇住民
 裁判所は住民の立場に立って判決を下した。県も、自分たちの立場ではなく住民の立場に立ち、上告はやめるべきだ。

◇住民
 私たちは長年にわたって苦しい運動を余儀なくされてきた。そうした住民の思いを認識してほしい。

◇住民
 県庁に産廃処分場をつくってみたらどうか。また、現地をみてほしい。そうすれば、住民がどんなに苦しんでいるか、どんな思いでいるかがわかると思う。

◆県
 県は法制度というモノサシにもとづいて業務を執行せざるをえない。産廃処分場も、法制度にもとづいて許可せざるをえない。

◇住民
 その法制度にもとづいて裁判所が判決を下したのだから、上告はやめるべきだ。

◇住民(高田)
 上告できる要件はあるのか。

◆県
 それも含めて検討中だ。


■「知事に会わせてほしい」

◇住民(高田)
 エコテックが県に賠償責任を求めることを怖れているのではないか。

◆県
 それはない。

◇住民(高田)
 一審・二審で敗訴したのに、さらに上告するというのでは、県は何をやっているのか、となるのではないか。住民の立場に立って考えてほしい。森田知事の姿勢も問われている。知事については、さまざまな問題が噴出している。そういう中で、この問題で住民の立場に立たないということになると、知事はいよいよきびしくなる。

◇住民
 知事はなぜこの場に出席しないのか。

◆県
 他の用事があって出席できない。しかし、本日の対応については、「環境生活部にまかせる」という一筆をもらっている。

◇住民(高田)
 知事に会わせてほしい。


■「税金のムダづかいはやめてほしい」

◇住民
 上告するかどうかを検討しているというが、その検討の中身を明らかにしてほしい。

◇住民
 県が住民の生活を守るいうのは、憲法でうたわれていることだ。そうした憲法上からみても、当然のこととして上告すべきでない。そもそも、産廃処分場を許可したことが誤りであった。

◇住民
 高裁判決から何日もたつのだから、なにを検討しているのか言えるはずだ。あなた方は私たちの税金を使って弁護士(4人)を雇っている。しかし、私たちは手弁当でやっている。あなた方は裁判で負けたのだから、それを素直に認めるべきだ。

◇住民
 杖をついたり、腰をまがったり、そんな人たちが、自分の生活を守るためにがんばってここにやってきた。それをみれば、「検討中」というそっけない回答はできないはずだ。
 上告した場合、その費用はどこからでるのか。税金ではないか。ここまできたのだから、知事に対して「上告はやめましょう」となぜ言えないのか。知事は自分のことでいっぱいだから、自分では判断できないのではないか。

◇住民
 上告しても、県が負ける可能性が高い。そんな税金のムダづかいはやめてほしい。


■「みなさんの意見は知事に伝える」

◆県(伊藤環境対策監)
 みなさんの意見は知事にはっきり伝える。みなさんの意見というのは次の3点だ。(1)上告はやめてほしい、(2)住民に立場に立ってほしい、(3)上告は税金のムダづかい。

◇住民(高田)
 知事は自分では判断できないはずだ。ここにいるみなさんがきちんと判断し、「上告はやめたほうだよい」とはっきり言ってほしい。最高裁でも負けたら、知事も、みなさんも立場がなくなるはずだ。

◆県(環境対策監)
 これは私の個人的な見解だが、上告したら、たぶん県が負けると思う。しかし、そういう最高裁判決が出れば、国が法律改正に動くはずだ。

◇住民(高田)
 それはおかしい。国は法律改正を何回もやっている。裁判で問われたのは県の対応だ。

◆県(主幹)
 私の個人的意見は、上告した場合にどうなるかは五分五分だと思う。高裁判決には理不尽な点がある。これを決着させるためにも最高裁に上告したほうがよいと思う。

◇住民(高田)
 あなた方は上告するつもりではないのか。話を聞いていると、そう思える。

◆県(主幹)
 先ほどの意見は、あくまでも個人的な意見だ。上告するかどうかは検討中だ。県庁内から「負けるとわかっているのに、なぜ上告するのか」という意見が出されることも考えられる。

◇住民
 11年も運動をやってきたのだから、もう上告はしないでほしい。

◇住民
 県は自分たちの主張がとりあげられなかったので「肩すかし」と考えているようだが、判決はきちんと県の負けを下している。


■「驕(おご)りがみられる」

◇住民(高田)
 上告するかどうかの原案をつくるのはあなた方ではないか。

◆県
 そうではない。選択肢を用意して知事の判断をあおぐことになる。

◇住民(高田)
 あなた方の話を聞いていると、「オレたちのやっていることに間違いはない」という驕(おご)りがみられる。

◆県
 いまの法制度のもとでは、できることとできないことがある。

◇住民
 エコテックというわけのわからない業者に対して許可したことについて、いまも何の反省も感じていないのか。

◆県
 あやしい業者だから許可しないということはできない。

◇住民(高田)
 県がそういう姿勢だから、一審、二審が県に代わって判決をだしてくれた。6月2日の午後、知事にぜひ会いたいので、それを知事に伝えてほしい。本日、このあとで知事室にも申し入れる。

◇             ◇

 以上です。

(文責・県自然保護連合事務局)




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