市議会の知事あて意見書を1カ月放置
〜エコテック産廃処分場問題で住民が激怒!〜
(2012年)1月11日、エコテック産廃処分場建設計画をめぐる問題で「産廃反対東総住民連絡会」が県と交渉しました。会場は千葉県庁舎1階の多目的ホールです。県側は、廃棄物指導課産業廃棄物指導室の大竹毅室長など4人。連絡会は、住民、弁護士、市議など約30人です。
■交渉の論点
処分場は、民間会社「エテコック」が旧海上町(現旭市)と銚子市、東庄町にまたがる地域に計画しているもです。計画地は周辺住民の飲み水の水源地です。優良農地も広がっています。そこで、地元住民が「産廃反対東総住民連絡会」を結成して建設反対にたちあがりました。
住民が県の設置許可取り消しを求めた訴訟で、最高裁は県の上告を棄却しました。許可を取り消した高裁判決が確定したのです。にもかかわず県は、最高裁判断を無視して処分場設置手続きを継続しています。
そこで地元住民が怒り、担当の廃棄物指導課と交渉を続けています。住民は、「最高裁判断を尊重し、処分場設置を認めるな」「設置手続きを認めるのなら、最初の事前協議からはじめるべき」と主張しています。
交渉で論点になったのは、主に次の3つです。
- 最高裁判断で許可取り消しが確定したのに、申請書類を補正すれば許可できるのか。
- 旭市議会が全員一致で採択した県知事あての意見書が、1カ月近く受付処理がされていなかった。
- エコテックは暴力団と関係があるのに、県はそれをきちんと調べていない。
やりとりの一部を紹介します。
■最高裁が許可を取り消したのに手続きを継続
◇連絡会(弁護士、住民)
エコテック産廃処分場計画は法的要件を満たしていないということで、最高裁が許可を取り消した。それなのに県は、申請書類を補正して要件を満たせば許可できると言う。たとえば申請書類の補正に10年かかった場合でも受理するのか。
◆県(廃棄物指導課)
そのとおり。
◇連絡会
その法的根拠はなにか。
◆県
行政事件訴訟法第33条だ。県の政策法務課は、補正して要件を満たせば受理できるとしている。K弁護士(県の顧問弁護士)も同じ見解だ。
◇連絡会
東京都市大学の青山貞一教授(環境政策)は、昨年12月7日の『毎日新聞』(千葉版)で、「法や判決の趣旨から考えると、手続きを継続することに違和感がある。もし処分場をつくるとするなら、手続きを最初からやりなおす必要があるのではないか」と述べている。政策法務課やK弁護士だけでなく、いろいろな専門家の見解を聞くべきだ。
そもそもK弁護士は、エコテック処分場許可取り消し訴訟で敗けた側の弁護士だ。そんな人の見解にもとづいて判断するのはおかしい。
◆県
ほかにどういう人の意見を聞いたかを調べ、次回の話し合いで回答する。
■市議会の知事あて意見書を1カ月放置に住民激怒
〜正式に受け付けず、知事にも見せない〜
◇連絡会
昨年12月13日、地元の旭市議会がエコテック処分場設置反対を求める知事あての意見を全会一致で採択した。意見書は翌日14日に市議会事務局が県に送った。15日には届いたはずだ。その意見書は読んだのか。
◆県(室長)
私もK副主幹(担当)も、意見書をたったいま読んだ。
◇連絡会
エッ!(会場が騒然となる)。意見書は、市議会が全員一致で採択したものだ。それを、1カ月近くたってはじめて見たとはどういうことなのか。受付日はいつになっているのか。
◆県(室長)
受付印が押されていないのでわからない。
◇連絡会
旭の市民と市議会をバカにするものだ。市議会の意見書は地方自治法(第99条)にもとづいて出したものだ。それを放置するとはどういうことか。
◆県(室長)
申し訳ない。
-
《交渉には旭市議会議員も2人が参加。議員や住民の激怒がおさまらなかったため、県側4人は、対応策を上司と相談するため、いったん退席》
◆県(室長)
いま調べた結果、意見書の扱いがわかった。意見書は昨年12月に県に届き、文書収発室にある本課(廃棄物指導課)のボックスに入れられた。本課では、担当者が意見書のコピーを課長と副課長に渡した。それがいつだったかはわからない。課長は知事あてに意見書が提出されたことを環境生活部長に報告した。しかし、知事には報告していない。だから、知事は意見書をまだ見ていない。意見書は受付印が押されていないし、正式な受付処理がされていない。だから、いつ県に届いたかはわからない。
◇連絡会
地方自治法にもとづいて市議会が知事あてに提出したのに、なぜ知事に見せないのか。
◆県
……。
◇連絡会
意見書はどこに置かれていたのか。
◆県(室長)
廃棄物指導課の担当者(3人)の机の上に置かれていた。
◇連絡会
受付印を押さないでコピーを課長に渡すという、県はそんないい加減なことをやっているのか。「こんな意見書が出された」ということで、扱いに困ったということなのか。このような意見書の処理は法にふれるのではないか。次回の話し 合いで明確に答えてほしい。
◆県(室長)
わかった。
■エコテックと暴力団の関係
◇連絡会
エコテックが暴力団の関連会社から2億円の金を借りたことが民事訴訟で明らかになっている。これは、12月定例県議会で山本友子議員がとりあげた。山本議員の質問に対し、環境生活部長は「調べる」と答弁した。その後、どのように調べたのか。また、エコテックに聴取したのか。
◆県
民事訴訟の判決文を閲覧した。昨年11月以降、エコテックに3回会ったが、この点は聞いていない。
◇連絡会(弁護士)
私は裁判の関連資料を閲覧した。県も、判決文だけでなく、関連資料を閲覧すべきだ。また、エコテックに事実関係をきちんと確認したり、金の貸し借りに関する資料などを出させるべきだ。
◆県
……。
◇連絡会(弁護士)
エコテックのいまの株主も調べてほしい。暴力団関係会社(者)が実質支配している可能性がある。また、エコテックの代表取締役の自宅に誰の抵当権がついているかも調べてほしい。自宅が暴力団関係者におさえられている可能性もある。
◆県
その必要はない。
◇連絡会(弁護士)
暴力団関係者が実質支配している会社であることがわかれば、処分場設置は許可できないのではないか。
◆県
そのとおり。
◇連絡会
環境生活部長は県議会において、暴力団とつながりがないかどうかを調べると答弁した。きちんと調べるべきだ。
◆県
上司と相談して対応する。
* *
以上です。
次回の交渉は3月19日(月)です。
「最高裁判断を尊重し、処分場設置を認めるな」と訴えた産廃反対東総住民連絡会の人たち
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