豊かな里山や谷津田を壊す巨大開発

〜自然保護団体が千葉・市原丘陵開発予定地を見学〜




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 千葉市と市原市にまたがる「千葉・市原丘陵開発新都市開発」の現場を2001年5月19日、自然保護団体が見学しました。主催したのは、同開発計画の見直しを求めて運動している「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」で、15人が参加。
 この開発は対象区域が約1万ヘクタールにおよぶ巨大開発です。開発予定地は、千葉県の中央部に残された貴重な自然環境が維持されている重要な地域です。そこには、動物から植物にいたるさまざまな種が生息し、多様な生態系を形成しています。環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されたオオタカも生息し、日本の農村風景がそのまま残る里山や谷津田が残されています。
 今回の見学会では、こうした自然環境や乱開発の実態などを見学しました。


















宅地造成を目的に大規模な区画整理事業が進められている土気東地区の開発現場。
ここは千葉市緑区の都市公園「昭和の森」の隣接地で、かつては自然が多く残された区域だった。しかし、工事により自然はメチャクチャに壊されてしまった。日本自然保護協会の会長で、国内外の環境問題にくわしい沼田眞・元千葉県立中央博物館長は、この開発計画について次のように指摘した。「ここには原生的な自然はなくても、里山や谷津田の豊かな自然が広がっている。今回の計画は、全体としてみるとさまざまな野生生物がすむこの豊かな自然を壊す。緑地をつくって回復させるといっても、人為的な回復の限界を考えると、これは典型的な自然破壊だ」(『朝日新聞』1997年7月27日)。
案内してくれた地元住民は、「ここは森があって、緑豊かなすばらしいところだった。こんなありさまになって残念で仕方がない」と語った。








土気東区画整理事業ために雨水調整池の建設が予定されている場所。千葉市最大規模の都市公園「昭和の森」内であるが、同事業の調整池が計画区域外の「昭和の森」にはみ出すかたちで設置されるため、ここも造成されてしまう。
写真でわかるように、ここは都市部に残る貴重な森林植生の場となっており、周辺の環境保全に大きな役割をはたしている。トリカブトやホトケドジョウ、ホンシュウオオイチモンジシマゴンゲロウなど貴重な動植物の生息が確認されており、同公園内でも自然度がとくに高い区域となっている。きれいなカタクリの花も咲いている。しかし、「大切な都市公園内の自然をつぶしてまで、隣接地の区画整理事業のために調整池を造る必要があるのか」などとする地元住民や自然保護団体の強い反対を無視し、千葉市は調整池の造成を了承した。








豪邸の空き家が並ぶ千葉市緑区土気地区の「チバリーヒルズ」。ここは、「土気東」や「市東第一」の土地区画整理事業を進めている東急不動産が手がけた高級住宅街だ。
バブル期に1戸10億円くらいで売り出したが、わずかしか売れていない。今は販売価格を数分の1に落としているが、それでも、管理維持費が月に70万円くらいかかるので、さっぱり売れない。








千葉県土地開発公社が開発した「土気緑の森工業団地」。写真右は昭和電工のバイオ研究所研究棟。中央は、同研究所の動物実験棟。左は、鳥居薬品の建物だったが、同社が撤退したため、現在は建物だけが残っている。
この工業団地の面積は160ヘクタール。うち、分譲済みは4割、実際に事業などに使われているのは2割となっており、ほかと同様に、企業誘致が思うように進んでいない。








市原市に計画されている「市東第一」の区画整理事業予定地。ここも、自然豊かな里山や谷津田を大規模に破壊して、宅地造成が進められることになっている。








オオタカが生息する市原市市津地区の里山。わずか13ヘクタールのみを残して住宅開発が進められようとしている。









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