千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会

千葉・市原丘陵の巨大開発を問うシンポジウム を開催




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 「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」は1999年12月4日、千葉市と市原市にまたがる大規模開発「千葉・市原丘陵開発」をめぐって、シンポジウム「大規模開発を問う〜オオタカ・谷津田の自然と財政破綻〜」を、市原市の五井会館で開きました。参加者は約80人でした。
 この開発は対象区域が約1万ヘクタールにおよぶ巨大開発です。その中の「市津緑の街」開発事業は、ゼネコンのフジタが事業主体となってシンクロトン光共同利用施設をつくり、民間研究所を誘致しようというものですが、計画地には環境庁のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されたオオタカが生息し、里山や谷津田が残されています。
 シンポジウムでは、まず、オオタカを観察してきた自然観察指導員の田中義和氏が、スライドをつかって開発対象地(市津地区)の自然の豊かさと生物の生態を説明しました。
 次に、県立中央博物館の長谷川雅美氏が、「谷津田は生き物が生息し、それを利用して人間が生活している」とのべ、谷津田や里山の重要性を強調しました。
 千葉商科大学の竹内壮一教授は、大規模開発で自治体が借金を膨らませてきた経過を説明し、「今の価値基準は、里山や谷津田などよりもディズニーランドのような施設が上位にある。メダカやカエルなどの自然を残すことが大切だという価値観を持つ必要がある」と強調、「そこに生活する人たちの福祉や健康を最優先する自治体づくりをすすめなければならない」と述べました。
 パネルディスカッションでは、連絡会の植田和男代表が、県がおこなった環境影響評価審査会で「オオタカの保全地域は直径300メートルで大丈夫か」と会長が質問したのに対し委員の一人が「オオタカに聞かないとわからない」と答えるなど、審査のずさんさを批判しました。また、オオタカの保全区域を13ヘクタール確保することで計画が進められているが、13ヘクタールでは狭すぎるとして、保全のために必要な措置をとるべきだと強調しました。また、長谷川雅美氏は、オオタカが生息するために、「もっと広大な面積が必要ではないか」と指摘しました。
 シンポジウムでは、県、千葉市、市原市にたいしてオオタカの保全区域を見直すことや無駄な公費投入をしないよう求める要望書を提出することを決めました。










シンポジウムには約80人が参加。








「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」の植田和雄代表が主催者を代表してあいさつ。








自然観察指導員の田中義和さん。田中さんは、「市津緑の街」開発予定地(市津地区)の豊かな自然の姿や生物の生態を、スライドを使ってくわしく説明してくれた。








県立中央博物館の長谷川雅美さん。長谷川さんは、流山市の市野谷の森でオオタカの保全区域として25ヘクタールが確保されたことについてふれ、「これまでの調査結果では、25ヘクタールぐらいの林にはオオタカはいなかった。こういう結果にもとづくと、25ヘクタールでは狭い。オオタカが生息するためには、もっと広大な面積が必要ではないか」と語りました。








千葉商科大学の竹内壮一さん。竹内さんは、自治体はどこも莫大な借金をかかえていることを話し、「金の使い方にゼネコンの強い力が働いており、住民の暮らしを向上させることにはあまり金が支出されないようになっている。こうした金の使い方を転換させることが必要」「市原市はどういう市であるのかをよく把握し、独自の街づくりを進めるようにすべきだ」「メダカやオオタカなどの野鳥がたくさんいる里山・谷津田をつぶし、ディズニーランドのような施設を楽しみの手段として子供たちに用意するという思想を改める必要がある」などと語りました。








パネラーの4人。








司会の川本幸立さん。








会場には、開発予定地の自然を紹介したパネルのほか、市原市内の産廃投棄や残土埋め立て、野焼きなどの写真も数多く展示。










★ シンポジウムで採択された要望書


「市津緑の街」開発事業について

事業への安易な公金投入の防止と

オオタカの保護を求める要望書



 千葉県知事 沼田  武 様
 千葉市長 松井  旭 様
 市原市長 小出善三郎 様


要請の趣旨

 千葉市と市原市にまたがる丘陵地域は、房総半島の北総台地と南総丘陵の接合部、また東京湾と太平洋側との分水界に位置し、県の中央部に残された貴重な自然環境が維持されている重要な地域です。
 現在、この地域約1万ヘクタールを対象に、千葉県、千葉市、市原市が進める「千葉・市原丘陵新都市開発」が進行していますが、開発計画の一つである「市津緑の街」事業に伴う工事が今にも着手されようとしています。

 ところで、この「市津緑の街」開発事業について、市民として看過できない次のような問題点があります。

  1. 「種の保存法」で絶滅危惧種に指定されているオオタカの生息地が開発予定地域内にあることから、約13ヘクタールの保全地域が考慮されているというが、この13ヘクタールという数値が日本各地のオオタカの保全区域面積と比較して非常に狭いこと、さらに県環境影響評価審査会の審議録内容からは、「種の保存法」の精神に立つならば少なくとも13ヘクタールの倍以上の面積が必要と読み取れること。

  2. 千葉・市原丘陵開発区域内の既存事業地の住宅販売、工業誘致の惨澹たる現況と、今後の見通しから、「市津緑の街」開発事業の成算はまったく見込めないこと。国、県、市原市は「市東第一」「奈良金剛地」も含めた3つの開発に、周辺整備費も含めると約550億円の公費の投入を予定しているが、このままでは国、自治体の財政危機を一層深刻化するものであること。

 そこで、住環境・貴重な自然環境の保護と自治体財政の健全性に責任を持つ貴職に対し、大規模な自然生態系の破壊と財政危機の深刻化を未然に防止する立場から、次のことを実施されるよう要請いたします。


要請事項

  1. オオタカの保全区域について、「種の保存法」の基本精神に沿って、最新の知見に基づいて見直すこと。
  2. 無駄な公費投入を防止するため、「市津緑の街」事業の成算性についての再評価を市民も参加して厳格に行い、その過程も公表すること。
  3. 前項1及び2のことが行われない限り、「市津緑の街」開発事業へ公費を投入しないこと。又、事業者に対し工事の着手を認めないこと。





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