「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」

 に期待する

千葉県自然保護連合 代表 岩田好宏   





 1999年7月22日に開かれた仮称「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」結成準備会に参加して、この連絡会結成が、これからの千葉県における環境運動のありかたを考えるうえできわめて重要な意味をもっていることを感じた。






●都市と農村の接点での運動

 その第1は、千葉市と市原市の隣接した地域での環境運動という地域的な特徴に注目したい。それは、都市と農村の接点であるという意味である。そこには、都市と自然の調和、農村と都市との関係をどうするかという重要な問題がみられる。
 こうした地域は、これまでは、良質の環境を形成し、人々の生活源である食糧生産の営みであった農業と農民の生活を犠牲にし、破壊する対象として考えられていた。だが、人間とその社会の持続にとってもっとも基本的である農業は、単に農民の生活の問題だけでなく、国民全体の問題である。また都市民にとっては、農村と接するところにその居をかまえたことは、農村の自然を自分たちの環境の重要な一部と考えてのことだと思う。良質の食糧と農村の自然環境を維持のためには、都市民と農民とはたがいに交流し連係してしなければならない。連絡会結成はそのための出発点としての意味がある。
 こうした地域では、従来、開発によって農村と自然環境が失われるという形で終わっていた。そうしたこれまでの常識を打ち破る基礎ができるという期待がもてるということである。



●「自分たちの地域は自分たちの手で」

 第2は、環境や自然の問題を中心にしながらも、それだけに止まることなく、そこに住む人たちの生命と生活を守り育むという、その意味では、「自分たちの地域は自分たちの手で」という地域自治の原則から問題を掘り起こし、地域住民運動として取り組んでいこうという構想がはっきり感じられることである。政治・経済のありかたを根本から問い直すことが、いま要求されているが、それを住民自治から考え、行動する重要な拠点になるという意味がこの結成に期待できる。
 環境問題は地域の主要な問題であるが、地域からみれば問題の一つである。地域は、環境を基盤にしながら、その上に経済や政治、文化といったものが成り立ち、それとの関係において地域の人たちの生活が成り立つわけであるから、環境と地域自治とはたがいに不可分な関係にある。



●地域の環境のありかたを展望

 3番目に感じた意義は、開発と環境というように、特定の環境問題に限定していないことも重視したい。都市開発にともなう環境破壊という具体的に環境問題がおこっていることが、この連絡会結成の契機になっているにしても、この連絡会は、当面の問題に取り組みながらも、それに限定することなく、地域の環境のありかたを展望するという活動の一つとして考えることができる。



●異なった自治体の住民が手を繋ぐ

 最後に4つ目として、千葉市と市原市という異なった自治体に住む人たちが手を繋いだということである。従来の環境運動は、ある地域の住民に限られたものや、問題は特定の環境問題に限定して、地域性の希薄な広い運動であったが、これは、それぞれの地域性を明確にして、それを基本にしながら、しかも、隣接の住民と結合するという点で、従来の運動のしかたとは異なる。いわば、この運動形態は、県民全体による運動の単位形態としての質をもっている。つまり、住民自治の原則を特定の地域に限定することなく、千葉県全体に貫いていくための具体的な大きな構想の重要な1歩になっていることである。



●連絡会方式が県全体に広がることを期待

 環境問題は地域の問題である。日本全体の、地球規模の環境問題は、その積分効果としてみられる。そしてまた、環境運動も地域運動を要素とするその積分として千葉県全体、日本全体に発展させなければならない。そのための具体的な方法をここにみることができる。その意味で、仮称「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」結成に大きな期待をいだいている。
 そして、こうした連絡会が、千葉・市原だけに限られることなく、現に銚子・海上など県東においても、問題をゴミ問題に限定してはいるが、異なる自治体住民の連係が具体的に進め、一つの成果を生み出している。こうした連絡会が県全体に広がることも期待したい。

(1999年8月)      













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