「市津緑の街」開発計画で
オオタカ保護を求める署名を提出
市原市市津地区でゼネコンのフジタが計画している大規模宅地開発の「市津緑の街」開発事業について、「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」は2000年4月25日、絶滅の恐れがあるオオタカの保護などを求める要望書を千葉県と千葉、市原両市に提出しました。要望書には1004人の署名を添付。
千葉県と両市が進めている「千葉・市原丘陵新都市開発」は、面積が約1万ヘクタールにおよぶ巨大開発です。この開発計画の一つである「市津緑の街」の事業区域には、オオタカの存在が確認されています。予定地内に13ヘクタールのオオタカ保全区域が設定されましたが、13ヘクタールでは狭すぎるとして、見直しを求めたものです。
以下は、要望書(署名)の内容です。
要望書(署名添付) |
「市津緑の街」開発事業について
事業への安易な公金投入の防止とオオタカの保護を求める要望書
2000年4月25日
千葉県知事 沼田 武 様
千葉市長 松井 旭 様
市原市長 小出善三郎 様
千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会
代 表 植 田 和 雄
千葉市と市原市にまたがる丘陵地域は、房総半島の北総台地と南総丘陵の接合部、また東京湾と太平洋側との分水界に位置し、県の中央部に残された貴重な自然環境が維持されている重要な地域です。
現在、この地域約1万ヘクタールを対象に、千葉県、千葉市、市原市が進める「千葉・市原丘陵新都市開発」が進行していますが、開発計画の一つである「市津緑の街」事業に伴う工事が今にも着手されようとしています。
ところで、この「市津緑の街」開発事業について、市民として看過できない次のような問題点があります。
- 「種の保存法」で絶滅危惧種に指定されているオオタカの生息地が開発予定地域内にあることから、約13ヘクタールの保全地域が考慮されているというが、この13ヘクタールという数値が日本各地のオオタカの保全区域面積と比較して非常に狭いこと、さらに県環境影響評価審査会の審議録内容からは、「種の保存法」の精神に立つならば少なくとも13ヘクタールの倍以上の面積が必要と読み取れること。
- 千葉・市原丘陵開発区域内の既存事業地の住宅販売、工業誘致の惨澹たる現況と、今後の見通しから、「市津緑の街」開発事業の成算はまったく見込めないこと。国、県、市原市は「市東第一」「奈良金剛地」も含めた3つの開発に、周辺整備費も含めると約550億円の公費の投入を予定しているが、このままでは国、自治体の財政危機を一層深刻化するものであること。
要請事項
- オオタカの保全区域について、「種の保存法」の基本精神に沿って、最新の知見に基づいて見直すこと。
- 無駄な公費投入を防止するため、「市津緑の街」事業の成算性についての再評価を市民も参加して厳格に行い、その過程も公表すること。
- 前項1及び2のことが行われない限り、「市津緑の街」開発事業へ公費を投入しないこと。
又、事業者に対し工事の着手を認めないこと。
オオタカが生息する市原市市津地区の里山。わずか13ヘクタールのみを残して住宅開発が進められようとしている。
「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」が主催した市津地区自然観察会。この日もオオタカの飛翔をみることができ、参加者は大感激だった。
この地域に生息するオオタカの成鳥(杉の木の上)。田中義和さんが撮影した。
豊かな自然が残る「市津緑の街」開発予定地内の谷津田。「谷津田」は、里山の谷間の湿地につくられた水田をいう。谷津田や里山は、昔ながらの伝統的な農業、農法によって維持されてきた。稲が育ち、カエルが鳴き、シラサギが舞う。水田ではセグロセキレイが餌をあさり、小川ではカワセミが飛び交い、ダイサギ、アオサギ、チョウサギ、コサギなどが餌を追う。このように、谷津田は、まさに千葉や日本の原風景となっている。
なお、この地域の自然の豊かさについては、市原市市津地区一帯の谷津田の自然をぜひご覧ください。
★関連ページ
- 巨大開発からオオタカ・里山・谷津田を守るために (植田和雄)
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