■千葉県自然保護連合が創立50周年
自然を守ることは自分を守ること
千葉県自然保護連合 代表 牛野くみ子
自然保護運動にかかわってすでに50年。まさかこんなに続けるとは思わなかった。
ここ、習志野市袖ヶ浦に越してきた当時、地先には海があり、護岸に立つと富士山が見えた。この風景を子どもたちに残したいと思い、千葉の干潟を守る会に入った。そこで聞いた「海はみんなのもの。埋め立てないでください」が自然保護とかかわった原点である。まあ、これが運のつきだったかな?
翌年、「高宕山のサルが危ない」ということで、息子を連れてお猿の調査に出かけた。東大の高杉先生から「行ってくれるだけでよい」という言葉をかけられ、喜び勇んで出かけた。何か参加することだけでも役に立っているのだと思うと、うれしかった。そのうえ、サルの生息地を守るということは私たちをも守ることだと気づいた。森林伐採はその地の保水力をなくし、二酸化炭素の吸収力を失う。いくつになっても知ることが増えるのはうれしいことである。
私は、館山の近くの三芳村から、無農薬、無化学肥料の野菜・コメを直接購入していた。そのようなところにゴルフ場がつくられるというので、生産者といっしょに反対した。近辺では、富浦や御宿などでもゴルフ場建設計画が目白押しだった。ゴルフ場問題千葉県連絡会として応援した。
ゴルフ場は一見すると緑のように見えるが、森林にはおよばない。森林を育てるには長い年月がかかる。それを一瞬のうちに伐採していいのか。これ以上ゴルフ場はいらないと、ブックレットを作成した。できあがった冊子を多くの人に知ってもらうため、私は、同級生がJR下総中山駅近くで経営する本屋に7掛けで持ち込んだ。
ゴルフ場問題と時を同じくして廃棄物問題千葉県連絡会が発足した。初めて産廃処分場に行ったとき、周りは塀で囲まれていた。何か恐怖を感じた。案内人は、にこりともせず軍隊口調でしゃべった。産廃処分場は山の中であったり、人里離れたところにあったりする。何が埋まっているかわからない。
地元では、自分たちの命の源である水が危ないと言っていた。これまで、さまざま問題に、時に怖い思いをしながらとりくんできた。私は当事者でないから応援団と思ってきたが、それは違うと思うようになった。森、川、山、海はみんなのものである。だから自然を守ることは自分を守ることなのだと。これからも千葉の自然保護にとりくんでいこうと思う。
(2021年6月)
産廃不法投棄の山=銚子市(故・戸石四郎さん提供)
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