盤洲干潟がピンチ


千葉県自然保護連合 代表 牛野くみ子



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 (2002年)1月3日は、恒例となっている盤洲干潟での新春豚汁と自然観察会。
 好天に恵まれて、目の前に富士山がくっきりと美しい。遠くかすかに北岳も見える。広大な海の前に立つと、身も心も安らぎを感じる。

 炊事係の藤間さんたちのお陰で、午前11時半頃には豚汁のいい匂いが漂ってくる。おいしいのと温かい豚汁で暖をとりたいのか、いつもより早めに大きなお鍋は空になる。

 風の来ないヨシ原の中で、盤洲干潟防人の桐谷さんから「ノリ」についての勉強をうける。先ほど干潟で見たおびただしいバカ貝の死骸は、やはり一昨年開業したスパ三日月「龍宮城」の温排水が原因ではないかと聞く。今さらながらスパの開発を許してしまったことが悔やまれる。これ以上、民有地といえども、干潟周辺の開発を許してはならない。

 ところが、スパ三日月の隣の約8ヘクタールの土地に、子ども向け遊戯施設「民話・童謡の里」が計画されている。テーマパークとして、釣り堀や語り部の民家、自然体験ゾーンとしてビオトープ(蛍・トンボなどの養殖)、疑似自然体感の庭、風車、そして宿舎などである。
 目の前に自然があるのに、何がビオトーブか。箱庭的なもので子どもたちの情操教育が培われるのか。後背地を守れずに干潟を守ることは難しい。ここをオープンさせてはならない。

 日本では数少なくなった原風景を備えている盤洲干潟。本来、あの周辺は水田で、干潟の後背地だったのではないか。現在は民有地となっているが、盤洲干潟が「環境省の重要澄地500」に選ばれているくらいの所、県や国が積極的に保全を進めるべきと思う。そういう運動を私たちはひろげていきたい。

 昨年行ったデンマークでは、民有地といえども勝手な開発は許されていなかった。そういうルールをこれかちはみんなで話し合っていかなくてはならないと思う。

 ましてや、こともあろうに、この建設計画を進めているのは、このたび「三番瀬再生計画検討会議」(円卓会議)の経済界・産業界代表侯補の佐藤フジエ氏(山形屋商事社長、市川市商工会議所会頭)である。

 三番瀬は埋め立て計画が中止になり、現在、円卓会議を立ち上げ、再生計画をそこで検討することになっている。その委員の一人が、片方では開発を行う人とは。納得がいかない。ましてや、3市(市川・船橋・浦安)から推薦されたと聞くにおよんでは、ますます合点がいかない。が、三番瀬を契機に自然保護の立場をとる人となるのだろうか。

 三番瀬の今後もさることながち、盤洲干潟に危機がせまっているのです。
 みなさん、一緒に声をあげて下さい。「民話・童謡の里」はいらないと。マガイモノは要らないと! 需要がなければつくってもムダになるだけです。

(2002年1月)





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