下水道とトイレを考える


牛野くみ子



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 先日、「雨水利用を進める全国市民の会」でスウェーデンのウノ・ウィンバルドさんを囲む会が開かれました。
 ウノさんは、スウェーデンの建築家です。これまで、スウェーデンの国際協力事業団「SIDA」の事業である開発途上国の環境衛生に関する数多くのコンサルタントをこなしてきました。今回は、北九州市で開かれる「国際トイレシンポジウム」(日本トイレ協会主催)に参加する途中、立ち寄ってくれたものです。
 この話は、開発途上国(世界の人口の半分がトイレを使えない状況にある)のことですが、トイレについて、もう一度考え直してみるきっかけとなるのではという思いで紹介します。

◇               ◇

 ウノさんのいうエコロジカル・サニテーソョン(生態学的衛生)とは、3つの条件を備えていて、(1)混ぜない(尿と糞)、(2)流さない、(3)無駄にしない、というトイレです。これは昔のトイレと同じようですが、尿と糞は別々に溜まる仕組みになっています。糞は水で流すのでなく、石灰または木屑をかけ、堆肥化するもので、メキシコ、ベトナム、中国で使用しているとのことです。  すでに水洗に慣れてしまっている私たちに、後戻りはなかなかできないでしょうが、地震や災害時に利用できるし、今後、貴重な水を考えていくうえで、重要でないかと思います。
 たとえば、せっかく小さくまとめて出したものを、多量の水を使って何倍もの量にして流すことはないと思いませんか。保健所の人もウノさんも、糞尿と水を混ぜるのはとても危険で、まずいことだと言っております。それは、別々のほうが処理がしやすいからです。そのうえ、現在は飲料水で流しているのですから、もったいないことこのうえなしです。
 では、流す水を雨水にしたらどうでしょうか。雨水を溜めるということは、即、川に行きませんから洪水予防にもなるし、一石二鳥です。が、これも貴重な水なんですよね。だいたい、自分の出したものを早くなくそうという発想がいけないと思います。
 ですから、いちばん理想とするところは、個人下水道ではないでしょうか。しかし後戻りができないとするなら、せめて私たちは、「水で流せば終り」でないことを心にとめたいと思います。そしてトイレの水をもっと少なくするよう心掛けたいものです。
 ところで「国際トイレシンポジウム」で何が話し合われたのでしょうか。聞いたところによると、「衛生と環境の両立」ということで話が進んだようです。そのなかの一つに、アメリカではタンクの水量に6リットル規制というのがあるそうです。日本の場合は、節水型タンクでも8リットルで、これは技術的な問題で下水管まで押し流すこととか、下水管の傾斜とかさまざまなことが絡んでいるようです。
 下水道を考えていくときには、トイレ協会の人とも話し合っていく必要があるのではないでしょうか。

(1999年12月)





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