住民の安全性は考慮しない

〜スーパー堤防事業取り消し訴訟の第8回口頭弁論〜




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 (2013年)7月24日、江戸川区のスーパー堤防事業取り消しを求める訴訟の第8回口頭弁論が東京地裁で開かれました。スーパー堤防事業に反対する住民など88人が傍聴しました。
 事業の名称は「東京都都市計画事業北小岩一丁目東部土地区画整理事業」です。江戸川区が進めています。国の「高規格堤防事業」(スーパー堤防事業)と一体のものとして進めている事業です。訴訟は事業対象区域の住民が起こしました。被告は江戸川区です。


「盛り土の安全性は事業計画決定と関係ない」

 この日の口頭弁論はわずか10分で終わりました。
 被告側が出した準備書面の内容について、原告側が2点質問しました。
 そのうちのひとつは、盛り土による危険性です。堤防は、液状化などの危険性が非常に高い場所です。スーパー堤防は、そんな危険な場所に人を住まわせようとするものです。この点について、被告側の準備書面はまったくふれていません。
 そこで、原告がこう質問しました。
     「被告の準備書面は、盛り土の安全性について認否を避けている。この点について被告の主張を聞きたい」
 被告側の答えはこうです。
     「盛り土の内容は決まっていない。だから、盛り土の安全性は本件の事業計画決定と関係ない」
 ようするに、盛り土が安全かどうかは事業計画と関係ないので答える必要はない、ということです。住民の安全はいっさい考慮しないということです。


被告側の主張はメチャクチャ

 口頭弁論が終わったあと、参議院議員会館で報告集会が開かれました。被告側のこの主張を弁護団が痛烈に批判しました。
 大江京子弁護士はこう述べました。
     「被告側の主張は本当にメチャクチャだ。なにもしなくても裁判所が行政を勝たせてくれると思っているかのような姿勢だ」
 対象地の住民からはこんな報告がされました。
     「私たち住民は、区画整理事業の恐ろしさを身にしみて感じている。このまま押し切られてしまうのか、という不安にさいなまれている。江戸川区は住民にたいし、使用収益停止の通知を送った。年明けには盛り土工事に着手することが日程にのぼっている。このような施策の強行によって、コミュニティの破壊が深刻になっている。住民の十分な合意なしに行政施策を強行することはあってはならないと思う。高齢者や弱者に過大な負担をかけることは真っ当なことではない。一刻も早く事業の取り消しを勝ち得たい。愚かなスーパー堤防事業を止めるため、みなさんの力を今後もお貸しいただきたい」
 江戸川区は7月16日、仮換地指定と使用収益停止の通知を住民に送りました。このままでは裁判の審理中に事業がどんどん進みます。そこで、今月中に事業執行停止を東京地裁に申し立てることになりました。

 なお、裁判長は、審理を早く進めたいとし、今後のスケジュールを示しました。次回の口頭弁論は9月11日です。専門家証人の採否が決まる予定です。
 その後、10月16日に原告側の証言、11月20日に専門家の証言、そして12月に結審の見込みとなりました。












参議院議員会館にて報告集会=7月24日







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