住民は重大被害を受ける危険性が大
〜スーパー堤防事業取り消し訴訟の第7回口頭弁論〜
江戸川区のスーパー堤防事業取り消しを求める訴訟の第7回口頭弁論が(2013年)6月12日、東京地裁で開かれました。スーパー堤防事業に反対する住民など93人が傍聴しました。
事業の名称は「東京都都市計画事業北小岩一丁目東部土地区画整理事業」です。江戸川区が進めています。しかし、ただの土地区画事業ではありません。国の「高規格堤防事業」(スーパー堤防事業)と一体のものとして進めている計画です。
訴訟は、事業対象区域の住民が起こしました。被告は江戸川区です。
事業の違法性を主張
最初に、原告側がこんなことを主張しました。
- 本件都市計画事業はスーパー堤防が前提となっているが、スーパー堤防はまったく必要ない。利根川から江戸川へは多くの水が流れないようになっているからである。江戸川区においては、むしろ内水氾濫の危険性が高い。したがって、スーパー堤防ではなく、内水氾濫の対策を講じるべきである。
- 被告(江戸川区)は、事業計画決定の4年以上前から半ば暴力的に先行買収を進めている。このような先行買収は、住民参加手続きを形骸化し、住民参加手続きをうたった法の趣旨を失わせるもので、違法の疑いが濃厚である。
- 東日本大震災によって、河川堤防は液状化の危険性が高いことがわかった。これまで想定されていなかった堤体そのものの液状化現象が各地で確認された。本件事業は、盛り土した堤防の上に住宅などを建てるものだが、住民は重大な被害を受ける可能性が高い。
裁判長は審理の迅速化を図りたいと述べました。そして、原告と被告の双方に宿題を課しました。原告は次回までに立証計画を立てること、被告は原告の主張にまとめて反論すること──です。
バカげたことに負けてはならない
口頭弁論のあとは、東京弁護士会館で報告集会です。弁護団が、口頭弁論における原告側の主張点や裁判長の訴訟指揮、被告の姿勢などを説明しました。
最後に、高橋新一原告団長がこう述べました。
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「先月、国土交通省関東地方整備局事業評価監視委員会が『再評価』を公表した。その資料に、堤防が決壊したときの浸水想定区域図が載っている。よくみると、水が低いところから高いところへ向かって流れることになっている。こんなバカげたことに負けてはならない。よりいっそうの応援をお願いします」
国交省が予算をつけた
この訴訟をめぐって新たな状況が生まれました。訴訟対象の事業に国交省が予算をつけたことです。
スーパー堤防は2010年の国の事業仕分けで廃止判定を受けました。そのため、昨年度までは新規事業への予算付けがされませんでした。ところが今年後、スーパー堤防事業に42億円の予算がつきました。訴訟対象の北小岩1丁目東部地区事業には12億円が配分されました。
これを受け、江戸川区は同事業費として約20億円を補正予算案に計上しました。補正予算案が成立すると事業が本格的に進みます。そうなると、裁判の審理とかかわりなく、住民は強制立ち退きをせまられることになります。
法廷外の運動が重要に
報告集会で、原告弁護団の大江京子弁護士はこう述べました。
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「スーパー堤防と一体となった本件土地区画整理事業に国交省が予算をつけた。また、江戸川区と国(国交省)が共同で事業を進めるという協定書も結ばれた。7月には仮換地指定が予想される。そうなると、裁判所にたいし、新たに執行停止を申し立てなければならないと思う」
「しかし、裁判所に執行停止命令をださせるのはハードルが高い。そこで、みなさんにぜひやっていただきたいことがある。それは、法廷の外で運動を盛りあげてほしいということだ。江戸川区に事業を中止させなければならない。被告は裁判において、シラッとした顔でウソばかりついている。だから。スーパー堤防事業の理不尽さを多くの区民に訴えてほしい。江戸川区が区民に知らせていることと法廷で言っていることは矛盾しているということを区民に知らせてほしい。私たちは法廷で一生懸命やるが、それだけではダメだ」
次回(第8回)の口頭弁論は7月24日(水)午前11時です。
東京弁護士会館にて報告集会=6月12日
★関連ページ
- スーパ一堤防事業は合理性がない〜江戸川区スーパー堤防事業取消訴訟の第6回口頭弁論配付資料(2013/4/17)
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