裁判長交代で急展開
〜スーパー堤防事業取り消し訴訟の第6回口頭弁論〜
江戸川区のスーパー堤防事業取り消しを求める訴訟の第6回口頭弁論が(2013年)4月17日、東京地裁で開かれました。スーパー堤防事業に反対する住民や支援する会のメンバー95人が傍聴しました。
事業の名称は「東京都都市計画事業北小岩一丁目東部土地区画整理事業」です。江戸川区が進めています。しかし、ただの土地区画事業ではありません。国の「高規格堤防事業」(スーパー堤防事業)と一体的に進めている計画です。
訴訟は事業対象区域の住民が起こしました。被告は江戸川区です。
原告はこんな主張をしています。
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「本件都市計画決定が前提としているスーパー堤防事業は、国の事業仕分け(2010年10月)において『廃止』の判断がなされるなど、スーパー堤防事業自体に重大な変更が生じていた。したがって、本件都市計画決定も、その内容を変更すべきであった。ところが、これをしていない。このような都市計画決定は違法である」
「スーパー堤防事業は、治水事業として不合理である。膨大な事業費がかかり、効率的ではない」
しかし、被告の江戸川区はスーパー堤防事業の内容について言及しません。次のように主張してきました。
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「本件区画整理事業は事実上、スーパー堤防事業と共同で進めてきた。だが、法律上はまったく別個の事業である。したがって、本件区画整理事業の違法性を争う裁判において、スーパー堤防事業の当否は無関係である」
「スーパー堤防事業が本件裁判の争点にならない以上、反論する必要もない」
■やっと本来の裁判に
人事異動により、今回から谷口豊裁判官が裁判長をつとめることになりました。
前回まで裁判長をつとめた定塚誠裁判官はひどいものでした。原告側の再三の質問に対して、ことごとく裁判長が答えました。「本件区画整理事業とスーパー堤防事業は別のものというとらえ方もできるのではないか」などと、被告側の主張を擁護する発言を繰り返しました。
こんどの谷口裁判長は大違いです。「本件区画整理事業は事実上、スーパー堤防事業を考慮しているが、法律上は別のものだ」という区側に対し、こんな説明を求めました。
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「“スーパー堤防事業を事実上考慮しているが、法律上は別”という意味がよくわからない」
「スーパー堤防事業と関係ないというのなら、なぜ盛り土をするのか。その根拠を明確にしてほしい」
「国の事業仕分けでスーパー堤防事業がいったん廃止になったあとに、本件区画整理事業が決定された。その経過を説明してほしい」
「スーパー堤防事業として国が補助しない場合、本件事業を区単独で実施することも想定しているのか」
弁論が終わったあと、傍聴したある住民はこんな感想を述べました。
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「これまでは裁判長が被告側の代弁ばかりをして、裁判にならなかった。きょう、ようやく本来の裁判がはじまった。傍聴してよかった」
参議院議員会館での報告集会では、弁護団がこう述べました。
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「裁判開始から1年半がたち、やっと私たちの主張が取り入れられた。この1年半はなんだったのか、と言いたい。谷口裁判長が説明を求めたことについて、被告側がどう答えるのか。それに注目したい」
次回(第7回)の口頭弁論は6月12日(水)午前11時です。
傍聴券を確保するために裁判所入り口前に並ぶ人たち=4月17日
参議院議員会館にて報告集会=4月17日
★関連ページ
- 住民は重大被害を受ける危険性が大〜スーパー堤防事業取り消し訴訟の第7回口頭弁論(2013/6/12)
- スーパ一堤防事業は合理性がない〜江戸川区スーパー堤防事業取消訴訟の第6回口頭弁論配付資料(2013/4/17)
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