ヘッドランド工事の見直しを要請
〜一宮海岸の侵食対策で千葉県自然保護連合が県交渉〜
千葉県自然保護連合は(2011年)12月16日、南九十九里浜(一宮海岸)のヘッドランド工事の見直しを求めて県の河川整備課と交渉しました。
■九十九里浜の景観と環境を破壊
県は、九十九里浜でコンクリート製人工岬「ヘッドランド」の建設を1988年から進めています。九十九里浜で全22基、そのうち一宮海岸で10基を建設中です。建設の目的は侵食対策です。ところが、この工事は侵食を加速させています。そればかりか、九十九里浜の景観や生態系をメチャクチャに破壊しつつあります。
そこで2010年2月、地元のサーファーたちが「一宮の海岸環境を考える会」を立ち上げました。ヘッドランド工事の一時中止と見直しを求める署名をわずか2か月で約4万4000筆集め、県知事などに提出しました。その結果、地元の一宮町は官民協議会「一宮の魅力ある海岸づくり会議」を同年6月に発足させました。会議には住民やサーファーの代表のほかに専門家が加わり、ヘッドランド工事の見直しや「魅力ある海岸づくり」などを議論しています。
ところが県は、ヘッドランド工事を従来どおりに進める姿勢です。それが、9月3日開催の第5回「一宮の魅力ある海岸づくり会議」で露(あらわ)になりました。
そこで、県の姿勢を質し、ヘッドランド工事の抜本的見直しを求めました。
■シミュレーションはアテにならない
当初計画どおりにヘッドランド工事を進めることについて、県はこう説明しました。
「侵食を防ぐためには、ヘッドランドと養浜(砂の搬入)の両方を組み合わせることが一番よいというシミュレーション結果がでた」と。
しかし、シミュレーション結果はアテになりません。というのは、これまでのヘッドランド工事は、侵食を防げるというシミュレーション結果にもとづいて進められてきたからです。じっさいは、侵食を防ぐどころか侵食を加速しています。当初は予定していなかった養浜をつづけることによって、侵食の加速を遅らせている状態です。
■地元の区長さんも批判
一宮海岸に面する地元の区長さんも交渉に参加し、こんなふうに県の姿勢をきびしく批判しました。
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「県が海岸でコンクリート構造物をどんどんつくるので、一宮海岸の景観や環境はすごく悪くなった。侵食もひどい」
「地元のYさんが、侵食されたところにポールを何本か立てたら砂がかなりついた。そうしたら、県がポールの撤去命令を出した。それで、ポールの代わりに漁網を置いたら、そのまわりに砂が堆積した。ヘッドランドではなく、そういう方法を検討してほしいと県に提案した。それを『一宮の魅力ある海岸づくり会議』でも提案した。ところが、県は耳を貸そうとしない。また、会議をリードしている学者委員(ヘッドランドの提唱者や推進派)も同じだ。なぜ、そういう方法を検討せずに、ヘッドランドにこだわるのか」
■ウラに1基10億円の利権
県がヘッドランドにこだわるウラには、1基10億円という公共工事を途中でやめるわけにはいかないという利権がからんでいるようです。このことはいろんな人が指摘しています。当連合は、「一宮の海岸環境を考える会」と連携し、今後も交渉などのとりくみを進めることにしています。
ヘッドランド工事の見直しを県河川海岸課に要請
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