6号ヘッドランドの構造・形状を議論

〜第4回「一宮の魅力ある海岸づくり会議」〜




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 「一宮の魅力ある海岸づくり会議」(会長・近藤健雄日本大教授)の第4回会合が(2011年)3月6日、一宮町保健センターで開かれました。
 議題は、6号ヘッドランドの構造・形状をどうするかです。6号は未完成であり、県が新年度(2011年度)から完成をめざすとしています。


 九十九里浜の環境を大規模に破壊


 ヘッドランドはコンクリート製の人工岬です。県が、九十九里浜の侵食対策として1988年(昭和63)から建設を進めています。九十九里浜で全22基、そのうち一宮海岸(南九十九里浜)は10基を建設中です。工事費は、1基あたり約10億円です。
 ヘッドランドの目的は侵食対策です。ところが、ちっとも侵食対策になっていません。そればかりか、九十九里浜の景観や自然環境をメチャクチャに破壊です。
 九十九里浜は日本を代表する砂浜の一つです。「日本の白砂青松100選」や「日本の渚100選」にも選ばれています。そういうすぐれた景観や自然環境がヘッドランドによって台無しにされつつあるのです。
 そこで昨年(2010年)2月、サーファーたちが「一宮の海岸環境を考える会」を立ち上げました。ヘッドランド工事の一時中止と見直しを求める署名をわずか2か月で約4万4000筆集め、県知事などに提出しました。その結果、地元の一宮町長が官民協議会「一宮の魅力ある海岸づくり会議」を6月に発足させました。


 4つのたたき台をめぐって議論


 今回は、6号ヘッドランドの構造・形状を検討する際のたたき台として、県が次の4案を提示しました。当初の計画は、先端をT字形にするものです。
    (1)タンカー形状案
       縦堤の先端部を、タンカーのように丸い形状とする。
    (2)先端をとがらせる案
       縦堤の先端部を、船の舳先(へさき)のようにとがった形状とする。
    (3)現行計画案
       当初計画どおりに、縦堤200m、横堤200mとする。
    (4)横堤潜堤案
       すでに施工済みの横堤38mはそのままにし、その左右を潜堤(堤体が水面下に没した消波構造物)にする。
 以上の案をめぐって、委員からさまざまな意見や提案がだされました。それらをもとに、県が再度、案をつくりなおし、次回の会議で議論することになりました。次回の会議は今年(2011年)の夏になるとのことです。


 ヘッドランドによる侵食加速が明らかに


 議論の中で明らかになったのは、ヘッドランド工事の進行にともなって海岸侵食がはげしくなったことです。
 十二社祭り保存会の代表委員からは、海岸侵食がはげしくなったため、「玉前(たまさき)神社はだか祭り」(十二社祭り)に支障がでているという説明がされました。
 この祭りは、1200年前からずっと続いています。大勢の男たちがはだかで神輿(みこし)をかついで波打ち際を疾走するのです。
 ところが、2002年(平成14)頃から砂浜の侵食がはげしくなり、また海岸がコンクリート構造物だらけになったため、波打ち際を疾走できなくなりました。保存会の代表委員は、「砂浜を復元し、かつてのように波打ち際を疾走できるようにしてほしい」と訴えました。

 また、ほぼ完成している3号ヘッドランドの後背地に住む委員はこう述べました。
     「侵食が激しくなったため、満潮時に北東の風が吹くと、すぐ近くまで波がやってくる。逃げ出す算段をしている。安心して生活ができるよう、一刻もはやく侵食対策をほどこしてほしい」
 ヘッドランドは、侵食対策にならないばかりか、侵食をいっそう激しくしていることが明らかになったのです。













一宮海岸(南九十九里浜)で建設中の人工岬「ヘッドランド」

ヘッドランドがほぼ完成している2号と3号の間は、未完成のところ(たとえば9号
と10号の間)や工事対象外(10号の手前の海岸)よりも侵食が激しくなっている。








ヘッドランドがほぼ完成している2号と3号の間は侵食が加速。(写真は2010年2月時点)




整備中のヘッドランド




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