大量の空き地をかえる幕張新都心

〜破綻しつつある巨大開発〜

開発問題研究会



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東京都内のオフィスビル大量供給で
  幕張新都心に逆風が吹いている

 千葉県の巨大開発「幕張新都心」はゴーストタウン化しつつある。今月(2003年2月)7日の『千葉日報』もこの点を報じている。同紙は、「“逆風”吹く幕張新都心──都内オフィスビル、マンション供給急増」との見出しで、つぎのように記している。
 「地価下落などを背景に都内で進むマンションやオフィスビルの大量供給で、千葉市美浜区の幕張新都心に逆風が吹いている。住宅地区のマンション販売の勢いが減速しつつあるのに加え、膨大な空き地の残る拡大地区では、進出予定企業が本社移転地を都内に鞍(くら)替えするケースが相次ぐ」


企業進出が進まず4割が空き地

 NHKテレビが2月4日深夜に再放送したスペシャル「超高層ビルが東京をおおう」もこのことをとりあげた。同番組は、都内の超高層ビル建設ラッシュのあおりを受けて、幕張新都心や「みなとみらい21」(横浜市)、「さいたま新都心」(さいたま市)が打撃を受けているとし、こう報じた。
 「幕張新都心は企業進出がなかなか進まず、4割が空き地となっている。都内の超高層ビル建設ラッシュと真っ向から競合している」
 「東京一極集中を是正しようとして事業が進められたが、岐路にたたされている」
 「あるコンピュータ会社(日立ソフトウェアエンジニアリングのこと)は、幕張新都心への本社移転を予定していた。しかしバブル崩壊後、幕張新都心への企業進出がすすまないことを見て、急きょ、東品川に本社を移転した。ほかにも12の企業が次々と進出計画を変更した」


「未来型都市」はスラム化する恐れ

 幕張新都心事業は広大な埋め立て地の一角で進められている。千葉県が「21世紀を展望したわが国最大級の未来型都市」をめざして1983年に計画をまとめ、県政の最重要課題として推し進めてきた事業である。幕張メッセ(1989年にオープン)を先導・中核施設として都市づくりが進められてきた。
 計画では、就業人口が15万人、居住人口が2万6000人である。しかし、現時点の就業人口は約4万人、居住人口は1万2000人にとどまっている。都内へのオフィスや人口の回帰が進むなかで、今後は企業進出や人口増はあまり望めないと見られている。

 昨年(2002年)12月3日付けの『日刊ゲンダイ』も、「きらびやかな超高層オフィスビルが次々オープンする陰で、東京のあちこちに『スラム』出現の恐怖」との見出しをつけ、ある不動産鑑定士がこう述べていることを紹介している。
 「真っ先に都心近郊の都市が“スラム化”する恐れがあります。たとえば千葉の幕張などの近郊都市はバブル期の再開発で企業誘致に成功したが、都市部のオフィスに値ごろ感が出てきたため魅力が薄れ、進出企業が都心回帰する現象が始まっている」


破綻は最初からわかっていたこと

 幕張新都心事業が計画されたときから、私たちはこの事業は必ず破綻すると指摘しつづけた。横浜や浦和・大宮(現在のさいたま市)などで似たような「業務核都市」構想がすすめられ、しかも、東京でも、東京駅周辺、汐留国鉄跡地、臨海部などで再開発や新都心の構想がうちだされていたからである。
 それが現実のものとなりつつある。幕張新都心事業はすでに大赤字である。このままでは、莫大なツケが県民に負わされることになる。

(2003年2月)




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