放射性廃棄物処分場のV期増設阻止に全力

─小櫃川の水を守る会が第33回定期総会─



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 「小櫃川の水を守る会」は2019年9月28日、第33回定期総会を君津市八重原公民館でひらいた。同会は1988年8月に発足した。以来、君津地域の水や環境を守るためにさまざまな運動をくりひろげている。
 君津地域でいま問題となっているのは放射性廃棄物処分場だ。小櫃川源流域の新井総合施設(株)と湊川源流域の大平興産(株)の2つの管理型産廃処分場で、1kgあたり8000ベクレル以下の放射性物質を含んだ廃棄物の埋め立てがつづいている。
 新井総合施設は処分場を大規模に拡大する第V期増設を計画している。県は2018年8月、V期増設を抜きうち的に許可した。小櫃川の水を守る会や地元の住民団体、農業団体などの反対を無視してである。そこで、地元の住民団体や農業団体がV期増設を阻止するために千葉県を相手どって提訴した。その裁判がつづいている。
 以下は、定期総会の報告と方針の要旨である。


1年間の活動報告

  1. この1年間は「新井総合施設(株)君津環境整備センター」のV期増設計画を阻止するとりくみが中心となった。この増設計画は昨年8月6日に千葉県が許可をだした。  昨年7〜8月、小櫃・上総地区の農家団体と住民団体、当会など10団体がV期増設計画の不許可を求める署名を5677筆集めた。10月16日、100人以上の参加で許可に抗議する県庁前デモをおこなった。デモのあと県当局に署名を提出し、許可取り消しを要請した。
  2. 昨年10月14日投開票の君津市長選挙にさいし、立候補予定者3人にたいしてアンケート調査をおこなった。結果をチラシにまとめ、新聞折り込みやポスティングなどで市内全域に周知した。これが市長選の結果に少なからず影響したと考えられる。新井総合施設処分場のV期増設反対を公約にかかげた市民派の石井宏子さんが自民・公明推薦候補を破って当選した。

  3. 今年1月31日、原告151人で行政訴訟を提起した。提訴当日も、千葉地方裁判所前で宣伝・要請行動にとりくんだ。

  4. 裁判の長期化を想定し、訴訟原告と支援者による組織が必要との認識のもと、10団体を中心に3月10日、「ふるさとの水を守る会」(以下「守る会」)が設立された。以降は、「守る会」を中心にとりくみを進めている。「守る会」には、当会からも共同代表1人を含む数人を役員として派遣している。

  5. 行政訴訟の口頭弁論は、これまで3回ひらかれた。第1回4月16日、第2回6月28日、第3回9月20日である。そのたびにデモ行進と報告集会をおこなった。傍聴者は毎回100人を超える。
      行政訴訟の提起後、「行政訴訟の判決が出されるまでには数年を要すると見込まれる。その間の増設工事や操業を差し止めるため、仮処分の民事訴訟も起こす必要がある」とのアドバイスが弁護団からあった。これを受け、「守る会」は6月28日に民事仮処分訴訟も提起した。原告は210人である。

  6. 「守る会」は今年9月22日投開票の君津市議会議員選挙に向け、この問題で現職候補者にアンケートをおこなった。結果を会員とマスコミなどに周知した。市議選終了後は新たに市議となった人にたいして同じアンケートを実施した。その結果を活かすことにしている。

  7. 当会は、「守る会」からの要請事項に最大限こたえるとともに、「守る会」の会員拡大にとりくんでいる。また、新井総合施設産廃処分場の危険性を住民に周知するとりくみもすすめている。具体的には、地域の各公民館文化祭への出展、各地で開催されたミニ学習会などへの講師派遣、パワーポイントによるわかりやすい説明、友誼団体の諸行事に出向いての活動報告などである。その結果、大きな成果をあげることができた。

  8. このように地域住民の中で関心が高まった要因の第一は、署名運動や裁判闘争であると考える。同時に、当会が長年とりくんできた地道な活動も一要因であると確信している。

  9. 当会の会報「小櫃川通信」は72号と73号の2号を発行した。多忙化がすすむなかでの編集・発行のため、困難性が高まっている。この点も具体的対策が必要となっている。


次年度の重点課題

  1. 新井総合施設(株)君津環境整備センターのV期増設計画を阻止するとりくみに全力をあげる。
  2. 大平興産大塚山処分場の監視活動や盤洲干潟保全などにもとりくむ。
  3. 現会員の結集力の向上、会員拡大、各支部機能の再構築をすすめる。
  4. 他団体との連携をいっそう強化する。
◇    ◇

 役員選出では関巌さんが代表を退任され、鳥海文和さんが新代表に就任した。




小櫃川の水を守る会の第33回定期総会であいさつする鳥海文和新代表
=2019年9月28日、君津市八重原公民館(中山敏則撮影)



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