放射性廃棄物処分場2期運転開始で説明会
〜場外漏水事故が起きた君津処分場〜
(2013年)2月1日、君津市の放射性廃棄物埋め立て処分場で説明会がありました。説明会を申し入れたのは「小櫃川の水を守る会」と「放射性物質から生命(いのち)を守る市民の会」です。君津地域の住民25人が参加しました。
1期処分場は場外漏水事故を起こし、運転停止中
この処分場は新井総合施設(株)が管理運営する「君津環境整備センター」です。場所は君津市の怒田(ぬだ)です。
小櫃川は、市原、袖ケ浦、木更津、君津、富津の5市35万人の水道水源です。その水源地に放射性廃棄物を埋め立てているのです。そのため、市民は「放射性物質から生命を守る市民の会」を結成し、業者(新井総合施設)や県に対し、搬入中止を求めてきました。
業者は、「放射性物質などが外部に漏れないよう、万全の対策を講じている」「こんな万全な処分場はない」と主張していました。
ところが2012年1月、場外の観測井戸から通常値(1リットルあたり50ミリグラム程度)の約4倍に当たる高濃度の塩化物イオンが検出されました。浄化前の水が場外に漏れたのです。それが県の調査で判明しました。そのため、既設(1期)処分場への搬入は停止中です。
周辺の井戸からは、いまも高濃度の塩化物イオンが検出されています。そこで、「守る会」や「市民の会」は放射性物質搬入の完全中止を求めてきました。地元の君津市長も県に対し、2期処分場の使用を許可しないよう要請しました。
2期処分場の使用を県が許可
ところが1月15日、2期処分場の使用を県が許可しました。2日後の17日には、2期処分場への放射性廃棄物搬入を開始です。そこで、「守る会」や「市民の会」が申し入れ、説明会が開かれました。
説明会では、業者からの説明のあと、参加者から質問や疑問が相次ぎました。業者は、1期処分場内の水が場外に漏れた原因や対策などを説明しました。こんな話でした。
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「この地域は、年間約2200ミリの降雨量がある。埋め立て地に降った雨は、メイン管(配水管の本管)に集水して水処理施設に運び、浄化したうえで放流することになっている。ところがメイン管が目づまりを起こし、十分に機能しなくなった。そのため、埋め立て地内の保有水の水位が上昇し、土堰堤(どえんてい)の法尻(のりじり)から保有水が場外に流出した」
「いまは、埋め立て地内の保有水を1日あたり200トン排出している。観測や点検も毎日つづけている。場外の観測井戸から塩化物イオンが検出されたが、重金属類や放射性物質は検出されていない。遮水シートからの漏水もない」
「1期処分場の漏水事故を受け、第2期処分場は設計を大きく改善した。集水菅の目づまりを解消するため、集水菅の太さを拡大した。埋め立て地の外縁にコンクリート製の保有水流出防止壁を設置するなどの対策も講じた」
「停止がつづくと、会社がなくなってしまう」
参加者からはこんな意見がだされました。
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「かつて、貴社は“こんな万全な処分場はない”と言っていた。ところが、浄化前の水が場外に漏れるという“想定外の事故”が起きた。今後もそういうことが起きる可能性がある。私たちはそれを心配している。1期処分場の漏水対策は万全ではないことがわかった。そういう中で2期処分場を運転するのはやめてほしい」
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「このまま停止状態がつづくと、会社がなくなってしまう。1期も2期も、漏水対策はしっかりやる。また、2期処分場は1期処分場とボックスカルバートで完全に分離している。だから、2期処分場の運転は認めてほしい」
「みなさんが放流水の水質調査を独自にやりたいというのなら、それも認める。いつでもけっこうだ」
「市民調査で監視したい」「3期処分場は許可させない」
説明会と現場見学が終わったあと、「守る会」と「市民の会」の山田周治代表はこう述べました。
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「今回はじめて、放流水の市民調査を業者が認めた。今後、水質や放射線量の市民調査をおこなって監視したい。また、県の廃棄物指導課と交渉することになっている。2期処分場を使用許可した県の姿勢をただしたい。さらに、新井総合施設は第3期処分場を計画し、用地買収を済ませている。3期処分場は許可させないようにしたい」
なお、埋め立て地の容量は、1期107万立方メートル、2期93万3000立方メートル、第3期(計画)約200万立方メートルとなっています。
説明会
1期の埋め立て地。浄化前の水が場外に漏れたため、搬入停止が続いている。
1期の埋め立て地を横から見る
1月15日に県が使用を許可した2期埋め立て処分場。1月17日から放射性廃棄物の搬入が続いている
放射性廃棄物を積載したダンプトラックが次々とトラックスケール(車両重量計)に乗る
水処理施設を見学
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