建設中止しかない!
〜仙台で指定廃棄物最終処分場を考えるシンポジウム〜
「建設中止しかない! 放射能を含む指定廃棄物最終処分場を考える」と題したシンポジウム」が2015年1月25日、仙台市の仙台弁護士会館大ホールで開かれた。主催は、最終処分場建設に反対する宮城県内候補地の栗原市、加美町(かみまち)、大和町(たいわちょう)の住民などでつくる「1・25シンポジウム実行委員会」である。超満員の400人が参加した。
環境省は、福島第1原発事故で生じた指定廃棄物(放射能の量が1キロあたり8000ベクレル超の廃棄物)の最終処分場建設を宮城、群馬、栃木、茨城、千葉の5県で計画している。そのなかで、候補地選定作業は宮城県が最も進んでいる。
シンポではまず、加美町の「放射性廃棄物最終処分場建設に断固反対する会」の高橋福継会長があいさつし、「いずれの候補地も水源地があり、処分場をつくってはならない。建設中止に向け宮城県全体の合意をめざしたい」と述べた。
第1部の「3候補地はいずれも適地ではない」では、大学教授や弁護士が講師となり科学や法律などの観点から講演した。
東北大の大槻憲四郎名誉教授(地質学)は、3か所のいずれの候補地も地滑りを起こしやすい地質であることを指摘し、「予測は困難だが、地滑りや土石流はいつか必ず起こる。地盤の点だけからいえば、強度もある福島第1原発あたりにつくるのがいちばんいい」と述べた。
同大の井原聡名誉教授(技術史・技術論、日本科学者会議常任幹事)は、安全監視が100年単位で必要になることをあげ、「100年先も安全と断言できるほど、現代の科学や技術は完全ではない。もう一度国に突き返して、原点から話し合いをしたらどうか」と話した。また、こんなことも指摘した。
「日本にはこの問題を研究する専門家がいない。それはなぜかというと、原発と同じように『安全』とされているからだ。研究しようとしても予算がつかない。それでも研究しようとすると、ほされてしまう」
仙台弁護士会の青木正芳弁護士は、「環境省の指定廃棄物最終処分場計画は日本学術会議の提言などを無視するもので、科学の知見に反するズサンなものである。不適切な場所に不適切な施設を造ることをやめさせよう」と訴えた。
第2部の「処分場の被害と影響を考える」では、井原聡名誉教授と青木正芳弁護士がパネリストになり、参加者をまじえて意見交換や討論が活発におこなわれた。指定廃棄物の一時保管状態や、地元の観光業や農業関係者から風評被害などについて聞き取った調査結果も発表された。
指定廃棄物最終処分場を考えるシンポジウムに
400人が参加=2015年1月25日、仙台弁護士会館
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