干潟の豊かさと保全の大切さを実感

〜「干潟を守る日2004」盤洲干潟学校〜



トップページにもどります
「ニュース」のページにもどります
「盤洲干潟」のページにもどります


 「小櫃川河口・盤洲干潟を守る連絡会」は3月21日、「干潟を守る日2004」の一環行事として、盤洲干潟学校(観察会)を開きました。
 観察会には小学生から大人まで30人が参加。木更津市金田の海で50年以上も漁師を続けている桐谷新三さんが、干潟に生息しているさまざまな動植物の生態や、環境の変化などについてくわしく話してくれました。
 流木をどかすと、冬眠中のアシハラガニやアカテガニ、カクベンケイがたくさんいます。5月になると目を覚まして活発に動き回るそうです。盤洲干潟には、カニが13種類みられるとのこと。この日は、チゴガニ、マメコブシガニ、ヤマトオサガニもたくさんいました。
 中州ではハママツナの新芽をたくさん発見しました。しかし、2000年7月に「スパ三日月龍宮城」という名のスパ(複合温浴施設)がオープンして以降、ハママツナはかなり少なくなりました。新芽の大きさも、1月の観察会のときとあまり変わっておらず、育ちがたいへん悪いとのことです。
 その「スパ三日月龍宮城」ですが、お客が少なくて経営難のようです。桐谷さんはこう言いました。
「スパはお客が少ない。温泉といっても、地下水をくみあげてボイラーでわかしているもの。そんなところにお客がたくさんやってくるわけがない」
 桐谷さんは、東京湾アクアライン(横断道路)の建設によって、東京湾の潮流が変わり、盤洲干潟の生態系に変化がでていることも話してくれました。
 また、アシの根っこがチッソやリンを吸収していることや、カニの穴が酸素供給に役立っていることなどを説明しながら、干潟の動植物が水質浄化に大きな役割を果たしていることを強調しました。そして、「環境をよごしているのは人間だけ」と言いました。
 この話を聞いた参加者からは、「干潟をしっかり保全すれば、下水道施設の整備にカネをかけすぎることもなくなる。行政はムダなことをやっている」という感想がだされました。
 かつては小櫃川の上流から運ばれる土砂が河口に堆積し、これが豊かな盤洲干潟を形成していました。しかし、小櫃川にダムや堰がたくさんつくられてから、砂が干潟まで流れなくなりました。運ばれてくるのは泥ばかりなったそうです。これも、盤洲干潟の環境に影響を与えているそうです。
 大量の温排水によって盤洲干潟の生態系に大打撃を与えているホテル三日月のスパやホテルはお客がさっぱりです。一方、1兆4400億円を費やしてつくらた東京湾アクアラインは、車が少ししか通らないために赤字たれ流しで、ムダな公共事業の代名詞になっています。
 桐谷さんの話は、干潟の生態系だけでなく、行政施策のあり方など、多くのことを考えさせてくれるものでした。














「干潟を守る日2004」の一環行事として開かれた盤洲干潟学校。“盤洲干潟の防人”とよばれている桐谷新三さんが、干潟に生息しているさまざまな動植物の生態や、環境の変化などについてくわしく話してくれた。








2000年にオープンした複合温浴施設「スパ三日月龍宮城」(左側の建物)と、2002年にオープンした「龍宮城ホテル三日月」(右側の建物)。左の高架は東京湾アクアライン(横断道路)。









★関連ページ

このページの頭に戻ります
「ニュース」のページに戻ります
「盤洲干潟」のページに戻ります