SOS盤洲干潟・第11回干潟まつり

「ホテル建設と干潟保全を考える」シンポジウム




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 木更津市の小櫃川河口周辺に広がる盤洲干潟(小櫃川河口干潟)の環境保全のために活動する自然愛好家らでつくる「干潟祭り実行委員会」は1999年8月8日、「第11回干潟まつり」を開いた。午前中はコアジサシ・カニの観察会を、午後からは同市北浜町の埋め立て地に大浴場を備えたホテルが建設されようとしている問題をめぐって「緊急シンポジウム」を開いた。同市民総合福祉会館で開いたシンポには、約300人の市民らが詰めかけ、干潟の保全を考えるとともに、盤洲干潟を守るための緊急アピール「木更津宣言」を採択した。














 ホテル建設の概要
1 名  称   木更津スパ三日月
2 事 業 者   (株)勝浦ホテル三日月
3 場  所   木更津市北浜1番地
4 敷地面積   103,511u
5 内  容 
    (1)公衆浴場(一部水着用部分あり)
      ・鉄骨造
      ・地上5階建て
      ・高さ 24.5m
      ・延床面積 16,826u
      ・2000年(H12)年6月開業予定
    (2)ホテル
      ・鉄骨鉄筋コンクリート造
      ・地上11階建て
      ・高さ 45.0m
      ・延床面積 20.390u
      ・2002年(H14)年3月開業予定



★第11回干潟まつり、緊急シンポジウム

 プ ロ グ ラ ム

1.コアジサシ・カニ観察会
    ・10:00〜11:30 
    ・小櫃川河口干潟(盤洲干潟)

2.緊急干潟シンポジウム
    ・13:00〜14:30
    ・木更津市総合福祉会館

  (1)基調講演 「世界の干潟の現状と課題」
         講師:山下弘文(日本湿地ネットワーク代表委員、
                 諫早干潟緊急救済本部代表)

  (2)パネルディスカッション
         司  会:岩田好宏(千葉県自然保護連合代表)
          パネラー:開発法子(日本自然保護協会)
              尼崎 進(日本野鳥の会)
              花輪伸一(世界自然保護基金日本委員会)
              森 哲司(干潟まつり実行委員会)



★第11回干潟まつり、緊急シンポジウム

 新聞報道より


 盤洲干潟は約760ヘクタールにわたって広がり、東京湾に奇跡的に残された日本最大の砂質干潟といわれ、希少な生物群が生息するとともに、渡り鳥の休息地・中継地として、また水質を浄化し水産資源ははぐくむ掛け替えのない自然−と「干潟祭り実行委員会」(藤平量郎代表)は毎年夏に干潟観察会を開き、環境保全の啓発活動を続けている。
 ところが、昨年8月ごろから勝浦市の「ホテル三日月」が東京湾アクアラインの接岸地である木更津市北浜町1番地、俗に“畔戸(くろと)の三万坪”といわれる埋め立て地に温泉スパを建設する計画が浮上。ことし9月ごろから5階建て大浴場の建設に着手し、来夏の完成をめざしている。
 同実行委員会、金田の海を守る会、千葉の干潟を守る会、日本野鳥の会県支部はことし4月中旬に木更津市に三日月との話し合いの場を設けるよう要請。ホテル側とは6、7月の2回話し合いを持ち、排水問題や野鳥への影響を含め環境影響調査を要望した。
 藤平代表らの話によると、ホテル側は「行政の指導に従う」とはいうものの、基本的に「東京湾の排水規制値をクリアすればよい」というスタンスで話し合いは平行線。
 ホテルが予定通り完成して1日500トンが排水されれば、干潟の生物やアサリ、ノリの漁業に大きな影響が出ることが予想されるばかりか、貴重な干潟が危急存亡の岐路に立たされる、という。
 また、高い建物と夜半までの照明で渡り鳥や昆虫たちが照明に引き付けられてぶつかる心配や、地下水の多量採取で地盤沈下を起こす恐れがあり、ホテル側に干潟の環境アセスメントを求めている。
 例年、干潟まつりは自然観察会を中心に行ってきたが、干潟保全に危機意識を強めた同祭り実行委員会は急きょ、自然保護グループの応援を求めて「緊急干潟シンポジウム」を開くことになった。
 同市の小櫃川河口干潟で午前10時ごろから行われた観察会には自然愛好家ら約100人が参加。参加者らは東京湾自然干潟に生きるチゴガニやコメツキガニといったカニ類やアラムシロガイやホソウミニナガイといった貝類、それらをエサにするカワウなどの水鳥類など豊かな生態系をじっくり観察し、多種多様な生物をはぐくむ干潟の大切さを再認識した。また、望遠鏡で約5000羽といわれるコアジサシの乱舞する姿を見た。
 午後からは会場を木更津市民総合福祉会館に移し、約300人が出席して「ホテル建設と干潟保全を考える」をテーマにシンポジウムが開かれた。諫早干潟緊急救済本部代表・日本湿地ネットワーク代表委員の山下弘文氏が「日本と世界の干潟保全の現状と課題」と題して基調講演。
 この後、岩田好宏・県自然保護連合代表を司会に、花輪伸一・世界自然保護基金日本委員会会員ら6人がパネルディスカッションを行い、活発な議論が交わされた。
 最後に「ホテルに干潟と共生できるよう交渉を進めるとともに、この干潟が東京湾岸の多数の人々から自然環境保全地域として認識され、さらにラムサール条約指定湿地として国際的見地から保存され、賢明な利用がなされることを市民運動としてめざす」との緊急アピールを採択した。

(朝日新聞、1999年8月9日付けより)







★「ホテル建設と干潟保全を考える」緊急シンポジウム


木 更 津 宣 言



 東京湾に奇跡的に残された最大の自然干潟−木更津市の盤洲干潟は、多くの海の幸を周辺に住む人々にもたらし、役立ってまいりました。
 アサリや海苔養殖、そして楽しい潮干狩り、すだて遊びなど、皆、この干潟があればこそです。しかもそれだけでなく、世界中でここだけにしかいない「キイロホソゴミムシ」をはじめ、貴重な生物群が生息し、多くの渡り鳥の休息地・中継地になっています。
 このように、干潟には多くの生物が生息して形成される豊かな生態系があったれぱこそ、干潟は人のために豊かな海の幸を毎年生産し、人に恵みをもたらすのです。人々は往々にしてそのことに慣れて大切さを忘れがちですが、失ってはじめて判るのでは遅すぎるでしょう。
 今、この木更津市の宝である盤洲干潟にとって、ひいては木更津市民にとって試練の時です。アクアラインが通り、この地域の開発のポテンシャルは増大しておりますが、一方で、ここの自然の価値もますます見直されてきつつあります。
 このようなとき、あくまでもこの干潟をこのままの姿で子孫に伝えることが、世紀末を生きる私たち木更津市及びその周辺の住民の義務ではないでしょうか。ホテルとは、是非ともこの干潟と共生できるように、皆様の支援のもとに交渉を進めるとともに、この小櫃川河口干潟の価値が東京湾岸の多数の人々に認識され、自然環境保全地域、さらにラムサール条約指定湿地として国際的見地から保存され、木更津市民及び東京湾岸の市民にとって賢明な利用がなされることを市民運動として目指すことを、第11回干潟まつりの後援・協賛の各団体及び会場に参加の皆様と確認いたしたく思います。
 さらに、東京湾に残る干潟がこれ以上破壊されることのないよう、東京湾岸の市民と連帯して保全することも確認いたしたいと思います。
 以上 宣言いたします。

 1999年8月8日

SOS盤洲干潟 第11回干潟まつり
ホテル建設と干潟保全を考える緊急シンポジウム
参加者一同




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