千葉県野鳥の会
小櫃川河口干潟隣接埋め立て地
ホテル・大浴場建設で要望書
木更津市海岸に広がる東京湾最大の自然干潟「小櫃川河口干潟」(盤洲干潟)に接する埋め立て地に勝浦ホテル三日月(本社・勝浦市)が大浴場とホテルの建設計画を進めている問題で、千葉県野鳥の会は7月25日、多量の地下水揚水や温排水放流が干潟の生態系に与える影響などについて環境影響評価を行うことなどを求める要望書を、勝浦ホテル三日月、千葉県知事、木更津市長に提出しました。
以下は、要望書の内容です。
勝浦ホテル三日月あての要望書 |
1999年7月25日
勝浦ホテル三日月 様
千葉県野鳥の会 会長 富谷健三
謹啓
夏本番を迎え、千葉県海浜観光の中心的存在にあります貴ホテルには益々ご繁栄のこととお喜び申しあげます。
さて、このたび、貴ホテルが木更津市北浜町に建設を予定されています、「木更津スパ三日月」に関する件で、私たちが知り得た情報から判断し、下記のとおり、建設予定地のある小櫃川河ロ干潟(通称、盤洲干潟)への影響、干潟に飛来する野生鳥類はじめ多くの野生生物に対する影響などが懸念されます。
ご存知のとおり、小櫃川河口干潟は、現存する干潟では日本屈指の自然景観及び生態系を維持した干潟であります。しかも、世界的に重要視された貴重な干潟でもあります。
干潟は、人とのつながりが強く、自然環境としても重要な場所であることから、ラムサール条約でも、干潟などの湿地を壊さないようにして上手に利用していこうということが重要な約束事とされています。中でも自然状態で保全された干潟は、国際的にも、その保全と賢明な利用が求められております。
施設が建設されることにより、干潟やそこに住む野生生物などに重大な影響が出て、干潟の生態系が壊されてしまっては、国際的に重大な問題となり、貴ホテルにとっても決して好ましいことではないと思います。
このようなことから、干潟の自然と共生した、世界に誇れるスパリゾート施設が建設されますことを願い、環境影響調査の実施および調査結果の公表をお願いいたします。
敬具
記
1.揚水及び排水処理方法に伴う問題
[毎日約500tの地下水を汲み上げ、使用後の温水等は浄化後、24〜25℃程度に冷やして放流することによる影響]
- 有害菌類の繁殖を促し、また、帰化生物など有害生物の繁茂を誘発し、干潟の生態系が崩壊する。ノリやアサリの養殖にも影響が出る。
- 干潟の生態系の崩壊により餌となる生物が減少し、遠距離を移動するシギ・チドリ類など多くの渡り鳥や、干潟に依存する野生鳥類の栄養補給が困難となる。
- 地下水の汲み上げにより、地盤沈下及び近隣住民の生活水へ影響が出る。
- 健全な干潟の維持が困難となり、景観も悪くなり、施設からの美観が損ねられる。
2.施設の建設規模に伴う問題
[建設場所が干潟に接していることと、地上高約46mのホテル棟、約27mのスパ棟の高さと照明による影響]
- 飛翔中の鳥類が、窓ガラスや電線などにぶつかり衝突死する。
- 鳥類や昆虫類などが照明に誘引され、窓ガラスや照明器具にぶつかり衝突死する。
(参考:ほとんどの水鳥は夜間も活動しています。)
千葉県知事あての要望書 |
1999年7月25日
千葉県知事 沼田 武 様
千葉県野鳥の会 会長 富谷健三
謹啓
平素、千葉県の自然環境の保全に関しましては、多大なるご尽力をいただき誠にありがとうございます。
すでにご存知のとおり、木更津市の小櫃川河口干潟にあります埋立地(木更津市北浜町)に、勝浦ホテル三日月が、温泉宿泊施設「木更津スパ三日月」を建設する計画を進めております。
小櫃川河ロ干潟は干出する面積も広く、自然干潟特有の塩生植物群落やクリークなども保全され、現存する干潟としては極めて豊かな生態系を維持した干潟で、日本屈指の干潟であり、世界に誇る干潟であります。
この貴重な干潟が、施設建設によって生態系が乱され、崩壊してしまっては、千葉県はもとより日本の大きな損失となります。
湿地の保全に関するラムサール条約でも、干潟などの貴重な湿地の保全とその賢明な利用を約束事にしており、干潟を保全し、それを上手に利用していくことが求められております。
私たちは、せっかく作る施設によって干潟が影響を受けてしまっては、国際的に大きな問題となりますし、勝浦ホテル三日月にとっても決して好ましいことではないと考え、別添のとおり、環境への影響調査の実施と調査結果の公表を要望いたしました。
つきましては、貴職におかれましても、自然環境と共存できる施設が建設されますよう、勝浦ホテル三日月への指導、関係部署への意志徹底などご尽力くださいますようお願いいたします。
国際的に重要とされます小櫃川河口干潟が、これまで保全ないし保護のための措置がなんら施されてこなかったにもかかわらず、豊かな生態系が維持されたまま今日に至っていることは、千葉県はじめ関係機関の職員の方々、地域住民、漁業関係者、多くの自然愛好家の方々などのご尽力のたまものと感謝しております。これからはさらに千葉県の宝として、日本の宝として保全され、地域住民はじめ多くの人々の憩いの場として、また生活の場として末氷く利用されますことを願い、自然環境保全地域への指定、かつ、鳥獣保護区への指定を早急に実現されますようお願いいたします。
敬具
木更津市長あての要望書 |
1999年7月25日
木更津市長 須田勝勇 様
千葉県野鳥の会 会長 富谷健三
謹啓
平素、木更津市の自然環境の保全に関しましては、多大なるご尽力をいただき誠にありがとうございます。
すでにご存知のとおり、木更津市の小櫃川河口干潟にあります埋立地(木更津市北浜町)に、勝浦ホテル三日月が、温泉宿泊施設「木更津スパ三日月」を建設する計画を進めております。
小櫃川河口干潟は干出する面積も広く、自然干潟特有の塩生植物群落やクリークなども保全され、現存する干潟としては極めて豊かな生態系を維持した干潟で、日本屈指の干潟であり、世界に誇る干潟であります。
この貴重な干潟が、施設建設によって生態系が乱され、崩壊してしまっては、木更津市はもとより日本の大きな損失となります。
湿地の保全に関するラムサール条約でも、干潟などの貴重な湿地の保全とその賢明な利用を約束事にしており、干潟を保全し、それを上手に利用していくことが求められております。
私たちは、せっかく作る施設によって干潟が影響を受けてしまっては、国際的に大きな問題となりますし、勝浦ホテル三日月にとっても決して好ましいことではないと考え、別添のとおり、環境への影響調査の実施と調査結果の公表を要望いたしました。
つきましては、貴職におかれましても、自然環境と共存できる施設が建設されますよう、勝浦ホテル三日月への指導、関係部署への意志徹底などご尽力くださいますようお願いいたします。
国際的に重要とされます小櫃川河口干潟が、これからさらに木更津市の宝として、日本の宝として保全され、地域住民はじめ多くの人々の憩いの湯として、また生活の場として末永く利用されますようにご尽力くださいますようお願いいたします。
敬具
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