盤洲干潟隣接地で遊戯施設を計画している業者に

要請・質問書を提出

〜小櫃川河口・盤洲干潟を守る連絡会〜



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 「小櫃川河口・盤洲干潟を守る連絡会」(略称:盤洲干潟を守る連絡会)は2001年7月5日、盤洲干潟(木更津市)の隣接地に大型遊戯施設「民話の里」を計画している山形屋商事株式会社に対し、要請・質問書を提出しました。
 同書は、盤洲干潟が世界に誇れる砂質干潟であることを認識しているかどうかなどを質すとともに、少なくとも市の「環境基本計画」が策定されるまで計画を凍結することなどを求めています。
 以下は、要請・質問書の内容です。


要望並びに質問書



2001年7月5日

 山形屋商事株式会社
 会長 佐藤フジエ 様


小櫃川河口・盤洲干潟を守る連絡会
代 表 小 関 公 平


要請並びに質問書

 私たちは、13年前から小櫃川流域における自然環境保全に関わってまいりましたが、ここ数年、特に河口域での動きについて深い関心を寄せていました。
 別記にもありますように、近年まで手つかずの状態で保存されてきた小櫃川河口域、盤洲干潟が、このままでは大きな環境破壊は免れない状況にあることから、本年6月23日、さらに県内の多くの自然保護団体が結集して「盤洲干潟を守る連絡会」が設立されました。
 以下に要請並びに質問をいたしますので、2週間以内に文書でご回答下さるようお願い致します。

<要請並びに質問>

  1.  盤洲干潟は、千葉県が世界に誇れる1400ヘクタールに及ぶ日本最大級の砂質干潟であることを認識していますか。そして将釆、天然記念物に指定されるべき底生動物の群生を認識していますか。

  2.  雨水、雑排水、汚水の処理はどのように考えていますか。金田ワクワク市場では汚水は全量バキュームカーにより汚水処理場へ運搬し、一滴も排水路へ流していません。
     前回の話し合いの際、排水はないとのことでしたが、敷地内に散水したとしても、必ず短期間のうちに干潟へ雨水と共に排水されるのではありませんか。

  3.  木更津市は、今後2カ年をかけて「環境基本計画」を策定します。望ましい環境の目標、市民・事業者・市の行動指針であり、環境の保全と創造のためのマスタープランです。
     この「環境基本計画」が策定されるまで、少なくとも「民話の里」計画は凍結しておくことを要請します。
以上




<別 記>

「小櫃川河口・盤洲干潟を守る連絡会」の設立主旨

 木更津市に残る小櫃川河口・盤洲干潟が危機的的な状況にあります。
 現在、東京湾に存在する干潟は、三番瀬、谷津、盤洲、富津などがあげられますが、その中でも盤洲干潟は1400ヘクタールの広大な面積を持つ日本最大級の砂質干潟です。
 干潮時には、目の前に広がる広大な砂浜(前浜)と自然海岸の後背地には約43ヘクタールに及ぶ塩性湿地帯(後浜)があり、ここにはヨシが生い茂り、大昔から引き継がれた自然干潟を形成し、原風景を留めています。
 1998年、千葉県環境部の調査報告書によりますと、盤洲干潟・小櫃川河口域で確認された生物は、植物約350種、野鳥128種、魚類60種、底生動物約40種、特に今や地球上でこのアシ原のある局地的な場所にしか棲息しない昆虫も発見され、学術的にも貴重な財産といえます。
 しかし、東京湾アクアライン開通後、この地域に開発の目が向けうれ、千葉県企業庁が埋め立て、地元金田漁協振興のために払い下げられた土地は、ホテル業者が1999年4月買収し、5階建て温泉施設および11階建てホテル(高さ45メートル)の建設計画が発表されました。
 私たちは干潟環境と共生できる建設を求めて3回の話し合いをもちましたが、県の建設認可後、話し合いは一方的に拒否され、工事は進行し、2000年7月、温泉施設は営業を開始して現在に至っています。
 その温泉施設の排水の影響と思われることが、アサリ、バカガイや海苔、底生動物などに現れはじめています。計画中の11階建てホテルは、照明や排水が干潟にやって来る野鳥、底生動物などに計り知れない影響をおよぼします。そして昨年末、小櫃川河口直近に子供を対象とした広大な敷地を持つ遊戯施設の計画も明らかになりました。本来であれば、盤洲干潟に隣接するこの計画地は、干潟を守るための緩衝地帯であるべき地域です。干潟への大きな影讐として騒音(自動車、放送)、夜間照明、排水が予想されます。水はリサイクルして使用し、最後は敷地内の植物などに散水するとのことですが、いずれは干潟へ排水されます。
 計画の趣旨と骨子には「戦後の高度成長の中で忘れかけていた日本の良さを発見し……与えられることになれてしまった子供達に遊びを通じ体験しながら自らを創造し、自然な形で学ぶことのできる施設とする」と記述してありますが、日本随一といわれる貴重な自然空間を無視して与えられる人工遊離施設で、子供たちが自らを創造するという安易な発想は、私たち千葉県民の自然環境に対する根本理念と大きくかけ離れた考え方だといわざるをえません。
 また、最近、「海ほたる」の南側を首都圏空港にとの計画も持ちあがっており、干潟はまさに消滅の危機に瀕しています。
 このようなことから、先に述べた内容を広く県民や東京湾において湿地保全に取り組んでいる団体・個人と連帯しながら大きな輪をつくり、東京湾に残された特筆すべき貴重な自然「小櫃川河口・盤洲干潟」をできうるかぎり負荷なく残すために、千葉県に対して「自然環境保全地域」指定を求め、さらにはラムサール登録地をめざし、行政や関連団体に要請していくことを主眼に活動します。
以上

 2001年6月23日

小櫃川河口・盤洲干潟を守る連絡会







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