「東京湾口道路建設促進協議会」の裏事情

〜なぜ多くの市町村が促進運動に参加しているのか〜

開発問題研究会



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 東京湾口道路は堂本千葉県知事も積極推進です。県議会でこのことを追及されると、「大型公共事業にも必要なものがある」とすり替え答弁を繰り返しています。


「房総地域東京湾口道路建設促進協議会」に
  22の市町村が参加

 ところで、千葉県には「房総地域東京湾口道路建設促進協議会」という名の組織ができています。これに加わっているのは、富津市をはじめ、館山市、木更津市、袖ケ浦市、茂原市、大多喜町など、22の市町村です。


アクアライン開通で木更津市経済は悲惨に

 約1兆5000億円をかけてつくった東京湾アクアライン(横断道路)は、通行量が目標の半分にも満たなくて、莫大な赤字をたれ流しつづけています。
 また、橋がかかる木更津市には大きな恵みをもたらすと大宣伝されていたのに、実際に完成したら木更津市の地域経済はメチャクチャになりました。ただの通過点となり、「橋の下の街に落ちるのは、空き缶だけ」(木更津商工会議所の幹部、『毎日新聞』2002.7.10)とまで言われています。
 一方、買い物客は対岸の横浜市に流出するようになりました。このため、「木更津そごう」は閉店においこまれ、木更津駅前の中心商店街は軒並みシャッターがおりています。
 あまりにもひどいので、米誌『ニューズウィーク』の日本版(2002年11月6日号)が「バブルと銀行破綻の傷跡に苦しむ木更津市。その光景は日本経済の未来の縮図でもある」というタイトルで大きくとりあげています。
 同誌はこんなふうに書いています。
 「シャッターを下ろしたままの店や空きビル、昼も夜もほとんど人通りのない商店街。港と向き合う小高い山の上にある新日本製鉄の社宅は取り壊され、広大な住宅地では家よりも雑草が伸びたまま放置された区画のほうが多い。木更津には、日本経済のゆがみを象徴するランドマークがもう一つある。90年に着工し、97年に開通した東京湾アクアラインだ。木更津と川崎を海底トンネルで結ぶアクアラインは、当初は『夢の架け橋』と言われた。だが1日の交通量は1万台と、当初見込みの2万5000台を大きく下回り、累積赤字はすでに700億円近くに達している。開通によって商圏が広がるとの期待がはずれたことで、木更津の商業地の地価は3年連続で20%以上下落した」


促進活動に参加しないと補助金を削減される

 アクアラインや木更津市がこんな悲惨な状況なのに、どうして数多くの市町村が「第2のアクアライン」の建設を促進しているのでしょうか。アホとしかいいようがありません。
 この点について、ある県政ウッチャーに話を聞いたところ、こう答えてくれました。
 「東京湾口道路が必要などとは誰も思っていない。県内自治体の職員も幹部もそうだ。しかし、建設促進協議会に加わって促進活動に参加しないと、国土交通省や千葉県から補助金削減などの制裁を受ける。県内で、国交省や県に逆らえるような市町村は一つもない」
 「湾口道路の実現には、巨額債務にあえいでいるゼネコンが大きな期待を寄せている。小泉首相などの有力政治家もそうだ」
 こうやって、誰もがムダと思っている巨大プロジェクトが推進されるのです。この国や千葉県はビョーキがひどくなるばかりです。

(2003年10月)




【参考】
 ・東京湾口道路の公式ホームページ







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