千葉県野鳥の会
1年間の活動
◇ 1998年夏〜1999年夏 ◇
『房総の自然と環境 1999』で、「本会の現在の最大の課題は、……東京湾奥に残された最後の干潟・浅瀬〈三番瀬〉 を守ることである」と記したが、この状況は現在も変わらない。
確かにこの1年間に、多くの自然保護団体・市民団体の「三番瀬埋め立て反対」の声に押されて、千葉県は計画の大幅縮小を提案したとはいえ、「これ以上の縮小は困難」(9月2日、県企業庁長)として三番瀬埋め立てをあきらめていない。本会は「三番瀬を守る署名ネットワーク」と「千葉県自然保護連合」の一員として、埋立て計画の白紙撤回を要求している。また本会が加わっている「谷津干潟環境保全交流会」は、三番瀬保全の要望書を千葉県に提出した。
三番瀬を守る本会独自の活動としては、第1に、1998年と1999年の予算に「三番瀬対策費」を計上し、三番瀬を守る各種団体の集会・行事に対する協賛金を支出した。
また、「守ろう !残そう !三番瀬」のシールの製作費にも支出したが、このTシャツを着て署名活動をした時には、「譲って!」という方が出るほど好評だった。
第2に、三番瀬(船橋)観察会を定例化し、毎月第1日曜日に実施している。この観察会は、慣例として「日本野鳥の会東京支部」と一緒に行っていたが、両者で覚書を交換して、正式に両者の共催行事とした。
第3に1998年と1999年の7月20日に「海の日記念三番瀬探鳥会」を行ったほか、夏には「三番瀬探検隊」、冬には三番瀬(塩浜)観察会も行っている。
特記すべきことは、1998年12月5、6日に名古屋で開催された「国際湿地シンポジウム'98 藤前」に本会として初めて参加し、現地観察会“ナイトウォッチング藤前”を行って、干潟・湿地を守る仲間たちとの交流を深めたことである。このシンポジウムで、環境庁小林課長の「藤前に人工干潟は作らせない」の爆弾発言が出席者を狂喜させたのはご存じのとおりである。
三番瀬と並んで、東京湾に残った自然干潟、小櫃川河口の盤洲干潟に温泉ホテル「スパ三日月」の建設計画が持ち上がり、ただちに勝浦ホテル三日月、千葉県知事、木更津市長の3者へ盤洲干潟保全の要望書を提出した。また、1999年8月8日の緊急シンポジウムに、本会は後援団体として参加し、干潟の保全に努めた。
干潟ばかりでなく、内陸部の千葉・市原丘陵では、千葉県、千葉・市原両市、民間業者による開発計画が進行している。本会は「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」に加入し、オオタカの舞う里山の自然保護に取り組んでいる。
千葉市の鳥となっているコアジサシは、市内での繁殖が年々激減しているので、毎年、千葉県、企業庁、千葉市に繁殖地の確保を陳情しているが、成果は得られていない。繁殖失敗の主な原因はカラスの攻撃だが、コアジサシの繁殖地を埋立地に追い立てたのは人間である。生ゴミの不始末でカラスの増加を招いたのも人間なのだから、コアジサシの繁殖失敗は単なる野鳥間の抗争ではすまされず、われわれ人間に大きな責任があると思う。
自然保護に直接の関係はないが、この1年間に行った本会の活動として特記すべきことは、本会会報を創刊号(1974年)から1997年12月号まで12冊に編冊し、県立中央図書館など5つの機関に寄贈したことである。そのほか、故石川敏雄前会長の蔵書と本会事務局の所蔵図書を谷津干潟自然観察センターに寄贈して、自然保護活動を進めるために誰にでも自由に利用していただいている。
(元事務局 沢田文夫)
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