■房総の環境保護運動を振り返る

「住民自治」運動で持続可能な地域育てを

千葉市緑区 川本幸立



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憲法、地方自治法に合致しない地方行政の実態

 憲法92条には、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は地方自治の本旨に基づいてこれを定める」とあります。つまり、地方自治の存在理由は人権保障と民主主義の実現であり、地域のことは住民自ら決定するという「住民自治」が保障されていなければならず、地域における政治・行政は国から独立しておこなわれるべきものとする「団体自治」が要請されています。
 一方、実際の地方行政(県、政令指定都市など)は、多くの場合、中央から派遣された官僚が総務、公共事業、福祉部門などの長を務め、議会の多数派も永田町の言いなりです。地方自治法第2条が定める「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政と自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」に合致しません。
 住民は、本来、身近な地域での自治を通じて、民主的な政治を運営していく能力や方法を身につけることができるようになる、つまり「地方自治は民主主義の学校」と言われます。しかし、日本ではそうした「地方自治」はほとんどありません。そのことが「民度の低さ」を生む要因の一つだと思います。


私が取り組んできた「住民自治」運動

 私が地域のまちづくりや環境問題に取り組むきっかけは、1990年に地域の住宅団地の町内自治会の役員に心ならずも就任したことがはじまりです(「千葉県自然保護連合創立50周年記念誌」第1集、19ページ参照)。それから31年が経過します。
 その間、地区計画制度(建築規制の条例化)、遺伝子組み換え実験施設の研究業務規制と住民の立ち入り調査権などの安全協定の締結、土気東区画整理事業に伴う谷津田里山への影響に係る環境調査の実施と4者協議会設置、産廃処分場計画の撤廃、住民参加のまちづくり運動・条例制定運動、県立博物館提言などなどにそれぞれのテーマにあわせた組織で取り組んできました。
 共通するのは、「住民自治」運動=「主権者として、命や健康に関わることは他者に委ねない」として取り組んだものです。


持続可能な社会に向けて

 今、私たちの子や孫たちの生存のために緊急に取り組むべき課題は、@気候変動問題(脱成長社会、資本制ノー)、A核廃絶(核兵器禁止条約、北東アジア非核地帯、原発ゼロ、福島第一原発事故のコントロール)、B東京一極集中の解消(地方分散、循環型経済、大地震動対応)の3つでしょう。
 しかし、今の政府では3つの課題も解決に至らないでしょう。地域社会は放置され、日本が破局に至るのは目に見えています。
 ではどうすればよいのか? 結局、憲法、住民自治を尊重する中央政府、地方政府をつくり、真の「民主主義の学校」をつくる以外にないと思います。

(2021年9月)







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