環境アセス制度を有効な「武器」に


実効ある環境アセス条例を求める千葉市民の会 事務局長 川本幸立



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 1999年1月25日、千葉県は三番瀬埋め立て計画について、「干潟は9割以上消失」「谷津干潟に大きな影響」などとする環境影響評価補足調査の結果を発表、埋め立てによる環境悪化の予測を指摘しました。
 環境影響評価(以下「環境アセス」という)制度は、事業遂行による環境への影響を事前に予測し、事業自体の中止も含めて、回復不可能な被害を未然に防止する制度です。しかし、そうした本来の機能を発揮するケースは主流ではありませんでした。
 日本でも1997年6月、ようやく、先進工業国の中で一番遅く、環境アセス法が制定されました。今年の6月の施行にあわせて、各地方自治体では「条例」「規則」「技術指針」の策定あるいは見直しが行われています。
 沼田眞日本自然保護協会長が「典型的な自然破壊」と指摘した土気東地区区画整理事業で、事業者が提出した環境アセス書は、定量的な把握や科学的な根拠を何ら示さないまま、「環境影響上、影響は軽微と考えられる」と結論づけ、審査会も含めた千葉市当局もその内容を容認しました。
 私たちは、アセス条例など策定する機会に、このような、すでに決定された事業を正当化するだけ、市民意見を聞き流すだけの「アワセメント」制度は打ち止めにしようと、広範な市民、団体と共同して「実効ある環境アセス条例を求める千葉市民の会」を昨年7月に結成し、法律の専門家の協力も得ながら以下の取り組みをしてきました。
 
 98年8月 「千葉市環境影響評価制度についての意見書」提出
       (条例策定段階での市民参加など9項目の申し入れ)
   9月 千葉市の条例原案に対し、9項目の見解表明
   10月 「意見書について文書回答を求める要望書」提出
   11月 川崎市環境アセス制度勉強会開催
   12月 「アセス対象規模等についての要望書」を県知事、市長あて提出
 99年1月 県、市の担当者と懇談
 
 こうした取り組みをふまえ、次の5点を指摘したいと思います。
 
(1) 地方自治体により、住民参加、情報公開度に大きな違いがある
 別表に、千葉市と川埼市の比較をしました。両市の違いは封建社会と民主主義社会の違いを思い起こさせるほどです。千葉県も千葉市と同様で、条例策定段階で市民意見を公募しなかった理由について、県の担当者は私に「公平性の観点もあり、公募すると混乱する。市民の代表者からなる議会で審議した」と述べました。
 
(2) 市民の運動が、アセス制度を実効あるものに改善する
 昨年12月、県は事業種ごとのアセス対象規模の改定内容を発表しました。
 廃棄物施設について、
  廃棄物焼却施設   処理能力 450トン/日以上→100トン/日以上
  廃棄物最終処分場  埋立処分面積 10ヘクタール以上→4ヘクタール以上
 と厳しくなりました。廃棄物問題に取り組んできた県内の住民運動の一つの成果ともいえると思います。
 
(3) 「規則」を改正する意識的な取り組みを
 「規則」は、議会や審査会の承認や審査を経ることなく、ある意味では行政の「胸三寸」で決まります。「規則」では、@条例で挙げたアセス対象となる事業に「準ずる事業」種類、A事業種ごとの対象規模、などを定めます。
 それゆえ、小規模でも環境に大きな影響を与える事業をアセスの対象とするために、例えば開発や造成はすべて川崎市並みに1ヘクタールとしたり、残土処分場は3000平方メートルとする取り組みも求められます。また、アセス対象となる事業項目に「準ずる事業」として、高層建築物や研究所などを追加することも可能です。本来、準ずるかどうかの判断は行政に委ねるのではなく、影響を受ける住民が判断すべきものです。さまざまな環境破壊を防止する取り組みの一つとして、こうした「規則」内容を改善する取り組みが意識的になされればと思います。
 
(4) アセス後の監視に市民参加を求める
 事業開始後、アセスどおりに環境が保全されるかどうかを市民なども加わって監視し、保全されない場台、事業内用の変更を求めることは、本来、当然のことです。しかし、条例などでは保証されていません。事業内容の変更うんぬんはともかく、土気東地区開発では、市、事業者、自然愛好家団体、地元の住民団体の4者で「環境連絡協議会」を昨年7月に設け、「アセスの監視計画の遵守及び周辺への影響並びに保全対策などについて情報提供と意見交換」を行っています。法や条例ではこうした場の設置を禁止してはいないわけですから、事業者に対し、市民参加の監視機関の設置を求めていけばどうでしょうか。
 
(5) 「環境アセス市民情報センター」のようなものがあれば
 さまざまな環境問題に直面している市民にとって、なかなかアセスにまで手が届かないのが実態だと思います。事業者の作成したアセス書を読みこなし、的確な批判をするためには、幅広い専門家や研究者との連携が必要です。本来、アセス制度は、自然破壊を防止する有効な「武器」となるはずです。「武器」となる実効ある制度にするためにも、「環境アセス市民情報センター」のような組織があればと思います。千葉県自然保護連合の中につくってはどうでしょうか。
 
 2月1日の「ちば市政だより」に、東金茂原道路(圏央道)の都市計画案・環境影響評価準備書の縦覧と説明会の案内の記事がありました。大規模道路計画に対し、財政、健康、自然に対する三悪を指摘する取り組みが必要です。アセス制度を有効な「武器」にする取り組みもその一つです。
(1999年2月)




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