8・2戦争立法反対浦安集会の講演(要旨)

声をあげよう! いっしょに動こう!

首都圏反原発連合(反原連) ミサオ・レッドウルフさん



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原発不要が証明された

 日本では、稼働中の原発がゼロという状況がずっと続いている。“原発稼働ゼロ”はもうすぐで丸2年になる。これは、原発がなくても電気は十分足りるということを証明している。以前、原発推進派は「原発がなくなったら電気が不足する」と言い、私たちをだまそうとしていた。ところが、いまはだますネタがなくなってきた。

 3・11の福島第一原発事故のあと、全国で反原発運動が湧き上がった。私たち首都圏反原発連合(反原連)は、毎週金曜夜の官邸前行動を2012年3月からはじめた。原発ゼロを求める民意を可視化する行動だった。2012年の6月から8月にかけては、参加者が爆発的に増えた。それを民主党政権が受けて、2030年代に原発をゼロにする方向に舵を切った。ゆるやかではあるが政権が脱原発に舵を切ったということは、歴史の転換点になったのではないか。

 残念ながら、2012年末の総選挙で自民党が政権に返り咲いた。そこから安倍晋三がゾンビのようによみがえってきた。

 安倍政権は昨年4月、2030年代に原発をゼロにするという方針を撤回した。原発を重要なベースロード電源に定めることを閣議決定した。国民世論は7、8割以上が脱原発を求めているのに、閣僚だけで原発の維持・推進を打ち出してしまった。

 再稼働されようとしているのは川内原発、伊方原発、高浜原発である。このうち、川内原発は再稼働目前になっている。

安倍政権打倒の運動が必要

 安倍政権は秘密保護法も成立させた。こういうことがあるので、安倍政権はほんとうにやばいと思った。そこで反原連が事務局団体になり、「安倍政権NO」という実行委員会を立ち上げた。3月22日と7月24日にいろいろな団体と共同で大きな集会を開いた。実行委員会には、学生団体「SEALDs」(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)も加わっている。

 7月24日は、安保法案(安全保障関連法案=戦争法案)の廃案などを掲げて日比谷野外音楽堂で集会を開いた。国会周辺でデモもおこない、「安倍はやめろ」と大きな声をあげた。この行動に7万人が参加した。

 国会前でデモをやることについては「効果がないのではないか」と言う方がおられる。しかし、まずは多くの人数で私たちの意思を可視化する。人数が多ければ多いほど、マスコミで報じられる。それが世論喚起につながる。

 今回も、安保法案反対のデモに大勢の人が参加したことによって、いろいろな著名人が発言するようになった。今回顕著なこととして、安保法案は違憲ということで学者たちも動きはじめている。

 そういった行動が報道されたりすることで安保法案反対の世論を高めていく。それが、結果的に議員にも伝わっていく。議員は次回の選挙でも当選したいので、圧倒的な世論という圧力がかかってくると意識せざるをえなくなる。来年は参院選がある。だからいまは、とくに参院議員に圧力をかけていくことが重要だと思う。

 いま、国会前行動がたいへん盛り上がっている。これは手前味噌になるが、3年前は官邸前抗議行動の参加者が爆発的に増えた。それがあったから、人びとが国会前に来やすくなったと思う。そういう意味では、脱原発の官邸前行動がプラットフォームをつくった。非暴力を貫くことによって参加のハードルを下げた。安全におこなうルールもつくった。シールズも、そうした官邸前行動のやり方を取り入れているように感じる。

 安保法案は参議院を通ってしまえば成立する。川内原発も再稼働直前となっている。私はこうしたことにすごく危機感をもっている。

 いま、全国で安保法案反対のデモや抗議がおこなわれている。世論喚起はできていると思う。衆議院で安保法案を強行採決した結果、安倍内閣は支持率が落ち、不支持率がアップした。あともう一押しすれば、もしかしたら安倍首相を引きずり落とすことができるのではないかと思う。

 安保法案が衆議院で強行採決されたことは不幸なことだ。しかし、安倍内閣が危うくなるという代償にもなった。そういうチャンスを活かすことが大事だ。

 なにかあるときは、こちら側も使える武器をもてるということがある。一つあげると、今回の安保法案によって、これまで意識してこなかった人びとも憲法9条を意識するようになった。

 せっかくシールズが立ち上がったのだから、安保法案反対の運動とともに安倍政権を打倒することを意識し、いっしょに運動を進めていくことが求められていると考えている。


デモの効果

 それでは、具体的にどうすればいいのか。ある国会議員と話したところ、こんな話をしてくれた。国会前や街頭でデモを繰り広げることは世論を高めることにつながる。また、それによって動く議員がいるというように、間接的な効果もある。ただし、結果的には国会で採決することになる。それをどう切り崩していくかが大事で、最終的には公明党がカギをにぎっている──。そんな話だった。

 最近は創価学会の人も安保法案反対のデモにちらほら参加している。創価学会の婦人部の中からも安保法案に反対する声があがっていると聞いているし、それが見えてきている。公明党を支える学会員のみなさんがどう動くかは、とても大きいと思う。

 私たちが官邸前で抗議行動をはじめたのは、大飯原発が再稼働になった2012年3月だった。4閣僚が大飯原発を再稼働させるという政治判断をしたため、官邸前で抗議行動をはじめた。

 たとえば、私を気にくわない方がいて、「ミサオは引っ込め」という署名を1万筆届けられたと仮定してみよう。心理的プレッシャーを考えると、それよりも私の目の前に1万人がやってきて、「ミサオは引っ込め」と言われたほうがはるかにプレッシャーは大きい。政治家も人間なので、そういうような心理作戦も大事だと思う。

 安保法案の問題では、国会前や街頭でのデモをやることも大事だ。公明党や創価学会にプレッシャーをかけたり働きかけたりするというような“変化球”も必要だ。そのような時期にさしかかっていると思う。


安保条約を撤回し、永世中立国に

 私は原発がなくなるまで反原発運動を続けることにしているが、それ以上にやりたいことがある。それは、日米安保条約を白紙撤回させるということだ。

 いま問題になっている原発や安保法案、辺野古新基地はすべて安保条約につながっている。安保条約があるために、これらの問題がでてくる。日本に米軍基地があるということは、日本はアメリカの属国にされているということだ。「アメリカが日本を守っている」というのはウソである。

 原発問題もアメリカの干渉が根底にある。その根(こん)本(ぽん)をなんとしないと、モグラたたきのようになる。

 といっても、安保条約を白紙撤回させることは簡単ではない。自民党政権は長年にわたって安保条約を維持してきた。その自民党政権が返り咲いている。やはり、政権を担うことのできる強力な野党をつくることが必要だ。私たち市民が、そういう政党を育てられるようにすることが大事だ。自民党政権が続くかぎり、アメリカに従属した政策しか実行できない。

 まずは自民党政権の路線を変えていく。その意味では、民主党政権に一回交代したという実績は大きい。安倍政権がこのままずっと続くとは思えない。自民党政権がずっと続くということについても疑問をもっている。

 来年の秋あたりに急に自民党が野党になるということはないにしても、政権交代を実現することは十分に可能性があると思っている。

 「寝言を言うな」といわれるかもしれないが、日本は将来的には永世中立化すべきだと考えている。

 日本は世界で唯一の被爆国である。私も広島出身なので、わりと近くに被爆者手帳を持った人がおられた。親戚にも被爆者がいる。だから、戦争の悲惨さを身近に感じてきた。

 戦争で悲惨なことがいろいろ起きた。だが、戦争でもっとも取り返しのつかないことは原子爆弾だったと思っている。その国になにができるか、ということを考える場合、世界に向けて平和な国づくりということを常に追求していかなければならない。私たちにはそれができると思う。

 安保条約が白紙になって、日本が永世中立国になる。自分が生きているうちにそれを見たい。


若者も立ち上がった

 今年は、戦後70年ということで大きな節目の年である。その中で、今月(8月)は特別な月である。終戦の日や原爆投下の日を含んでいるからだ。

 日本はこの70年間、戦争をしてこなかった。真の平和であったかどうかについてはさまざまな意見があるとしても、戦争で血を流した人はいなかった。これは大きなことだと思う。先進国という枠にいながら、西欧諸国とは足並みをそろえてきていない。これは日本が誇りにしていい点だ。戦争が70年間なかったことについては、感謝しなければならない。

 いま、若い人たちは戦争を経験していないのに、「戦争させるな」「戦争したくない」と言いながらデモや抗議に参加している。若い人たちは、海外で起きている戦争の動画を見たり、想像力を働かせたりすることによって、戦争はダメだということがわかる。そういう感性を持ち続けることができれば、いくら政権が独裁であろうが、最悪であろうが、日本には希望が残っているのではないか。私はそのように考えている。
(2015年8月2日)




講演に聞き入る参加者




首都圏反原発連合(反原連)のミサオ・レッドウルフさん







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