〜自然保護団体と県職員団体〜
千葉県自然保護連合事務局
(2006年)9月2日、千葉の公共事業問題で自然保護団体と県職員労働組合の意見交換会をおこないました。
■高規格道路整備を優先させ、道路維持補修予算は激減
最初に、同労組から「県民の期待する公共事業へ」というテーマで、県が進めている公共事業の概要や問題点などが報告されました。
- 千葉県の公共事業予算は、歳出予算の中でトップを占めている。
- 公共事業予算の中でいちばん多いのは道路であるが、その道路予算も、高規格道路の整備に重点がおかれ、すでにある道路の改良や維持管理は二の次になっている。道路を良好な状態に保つための予算(道路維持補修予算)は毎年大幅に減少し、現在はかつての3分の1となってしまった。そのため、歩道に雑草が繁茂したり、舗装のひび割れが目につくようになっている。穴ぼこが起きても、維持補修予算が少ないため、なかなか補修できない。このため、事故が起き、訴訟で県が敗訴する例もでてきている。
- 県がカネをいちばんつぎこんでいる道路は北千葉道路である。この道路は成田空港と東京を結ぶ成田新高速鉄道に沿ってつくられる。サンカノゴイなど希少鳥類が生息する県立印旛手賀自然公園内を通ることから自然環境の破壊になる。北千葉道路は、県にとってはまったく必要のない道路である。しかし、成田新高速鉄道だけをつくると、採算がとれずに大赤字になる。そこで、鉄道と道路を一体でつくることによって鉄道の負担を軽減するため、北千葉道路が計画された。
- 県は、北千葉道路や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、東京外かく環状道路(外環道)といった高規格道路を最優先に位置づけている。県庁内部では、「北千葉道路や圏央道などは必要ない。それよりも、既設道路の維持補修や生活密着型道路の整備を優先すべき」などの声もでているが、そういう声は抑えられる。
■車道と歩道の分離を最優先するべき
自然保護団体からは、
- 千葉県の交通事故死者数は全国トップクラスだ。その原因の一つは、歩道のない県道や国道が非常に多いことである。トラックなど大型車の交通量が激しいのに歩道がないという道路がたくさんある。人権重視の観点から、交通事故ゼロをめざして車道と歩道の分離を最優先するべきだ。
- 第二東京湾岸道路(第二湾岸道)の必要性がまったく明らかにされないまま、貴重な干潟・浅瀬「三番瀬」にこの道路を通すとか、そのために猫実川河口域(三番瀬海域の一部)を人工干潟にするなどの動きが強まっている。
公共事業の実態や問題点、公共事業のあり方などについて活発に意見交換したあと、今後も情報提供や意見交換をおこなっていくことを確認しあいました。
(2006年9月)
★関連ページ
- 米国の橋崩落は他人事ではない〜日本の橋や道路も危ない(公共事業と環境を考える会、2007/8)
- 県道がガタガタになる(公共事業と環境を考える会、2005/10)
- ムダと利権疑惑の国道297号バイパス道路を見学(千葉県自然保護連合事務局、2001/12)
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