「リニア新幹線=エコ」は大ウソ

〜クリーンエネルギーは疑問が多い〜

千葉県自然保護連合 中山敏則




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「省エネとされるクリーンエネルギーは疑問が多い」「クリーンエネルギーはカネ食い虫。しかも、必ずしも環境にやさしいわけでもない」「まだまだ悲しい現実」──。注目を浴びているクリーンエネルギーについて、『日刊ゲンダイ』(2009年3月4日号)がこう疑問を呈しています。


電力消費量は新幹線の3〜40倍

 その最たるものはリニア新幹線です。同紙は、「リニアの電力は新幹線の数倍?」という見出しをつけてこう記しています。
    《整備新幹線には批判的な日本人も、なぜかリニアには寛大だ。JR東海が2025年の開業を目指す「リニア中央新幹線」。東京と名古屋を40分で結ぶ夢の超特急だ。
     リニアは「クリーンな電気エネルギーを利用し、環境への負担を軽減することができる」(愛知県・交通対策課)らしく、株式市場でも「エコ関連銘柄」に位置づけられる。だが、車体を浮かせて走らせるリニアは、莫大な電気を食う。JR東海は正確な消費電力量を試算中だが、新幹線の約3倍ともされるのだ。想定消費電力(東京−大阪)は、大型原子力発電所1基分の130万キロワット。なるべく体重を軽くして乗るしかない。》
 そのとおりです。
 リニア新幹線が「環境への負荷を軽減」とか「エコ関連銘柄」というのは、インチキもいいところです。
 じっさいは、リニア新幹線の消費電力は大型原発2、3基分といわれています。それほどリニア新幹線はエネルギーを浪費するのです。



ものすごいカネ食い虫

 しかも、リニア新幹線はものすごいカネ食い虫です。リニアにくわしい伊藤洋さん(山梨大学名誉教授、前山梨大学副学長)は、「JR東海は建設費を5兆1000億円と見積っているが、実際はその3倍以上かかるはずだ」と指摘しています。
 明星大学教授の橋山禮治郎氏(政策学)はこうです。
    《10兆円を超える前代未聞の巨額な建設費が見込まれるリニア中央新幹線の採算確保は決して容易ではあるまい。》

    《技術開発研究者のこれまでの地道な努力は高く評価されるが、しかしなお超電導材料の開発、超電導磁石の大型化、コイルの耐久性、ガウス対策(電磁波の人体に及ぼす危険防止)、コスト低減、運転制御システムの確立、安全性・信頼性の確保、沿線環境対策等多くの課題が山積しており、実用化の目途が立ったというのは時期尚早であろう。》(『世界』2008年6月号)
 こうしたことをみれば、「省エネとされるクリーンエネルギーは疑問が多い」ということがよくわかると思います。


着工は無謀

 先日の全国自然保護連合の会議でも、リニア中央新幹線が話題になりました。
 JR東海の関係者はこんな話をしてくれたそうです。
     「JR東海は旧国鉄から東海道新幹線を5兆円で購入し、22年間でようやく3兆円を返済した。あと2兆円残っている。このような状態なのに、建設費が5兆円以上かかるリニア中央新幹線の着工など無謀だ」
 また、リニア中央新幹線は、神奈川、山梨、長野、岐阜の各県に一つずつ駅をつくることになっています。しかし、リニアの最高速度は時速500キロです。東京(品川駅)を出発したら、最速に達しないうちに神奈川に到着です。山梨の場合は、最速に達したらすぐにスピードダウンしなければなりません。こんなリニア新幹線のどこに意味があるのでしょうか。

(2009年3月)










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