★産業廃棄物・残土


 どうやったら、

 この残土をくいとめられるのでしょう!

    〜残土が房総の丘陵地帯を埋めている〜

残土・産廃問題ネットワーク・ちば  井村弘子   




★残土条例ができて、かえって大型の残土埋め立てが増加

 昨年(1998年)11月14日、1999年度の総会を開きました。1999年度のスケジュールは盛りだくさんです。どのくらいこなせるかと思いますが、1998年度は県残土条例に振り回されたように思いますので、99年度は、「残土ネットワーク・ちば」の存在を明らかにするように働きかけたいと思っています。
 環境ホルモン、ダイオキシンと、誰でもが口にするときです。行政にやってほしいことを先取りして住民がやらなければ世の中は良くならないのではないか、といつも思います。
 午前中の総会のあと、午後には集会をしました。特別講演として横浜国大の北村喜宣先生に「産業廃棄物と残土をめぐる諸問題」、特別報告として海上町の高田さんから「住民投票その後」を話していただきました。残土条例ができてかえって大型の残土埋め立てが許可されているのではないかと思われるような現状に対し、何を考えてゆけばよいのか。法律的な問題はむずかしいことですが、水源問題、立地問題、残土取り締まりの問題など、行政がこれらにもっと予算をたて、人を増やしていかなければということに大いに頷いた一人でした。
 海上からの報告はたくさんの方々が耳にしていることですから省略しますが、住民に対する県の態度は良くないと思います。これは県民全体の問題です。町をあげて住民が立ち上がっているのです。ただ引き延ばしてそれを解決しないのでは、県政の態度としてあまりにも貧しいのではないかと思います。何を考えているのか、情報を海上町にはもちろんのこと、県民全体に流すべきではないかと思います。


★房総の丘陵地帯は残土で埋まり、茶色の平野になろうとしている

 12月13日には、大型残土の見学会をしました。県は、4月以降8月までで許可を60も出しました。その中で、10万立方メートル以上のものが7件あります。そのうちで最も大きいものは武蔵屋商事(株)の80万631立方メートル(長柄町山根)で、10ヘクタールの広さです。今、埋め立て中で、施工業者は青木建設でした。負債をかかえて倒産しかかったが、会社更生法で生き延びた、あの青木建設です。見渡すかぎり茶色の赤裸の上です。遊休田と森林は残土の下に埋め立てられてしまいました。
 市原、長柄、袖ケ浦などの奥は、昔はなだらかな山々が織りなす九十九の山並みでした。山々が遠く幾重にも重なり合う様は、奈良の盆地をかこむ山々よりもっとやさしい風景でした。今、房総の丘陵地帯は残土で埋まり、茶色の平野になろうとしています。農地転用の許可を受けていますが、きっと宅地になってしまうのでしょう。その頃、自然の安らぎが残されているのでしょうか。
 搬入先は木更津岸壁と標識板に書かれているところがありましたが、これで県への届けが済んだとしたら、おかしなことです。岸壁に下ろすのですから、搬入先はその先のはずです。どこのものとも分からない土を持ってくるのでは、どんな埋め立てになるかわかりません。残土は「有効なよい土である」と知事もうたっているではありませんか。そのためには、もっと慎重な受け入れが必要です。千葉には谷がたくさんあるからと、他県の残土を受け入れたのでは、たまったものではありません。残土が上総丘陵地域を埋めています。

(1998年12月)





袖ケ浦市代宿の栗原建設の残土埋め立て処分場(1998年12月13日撮影)



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