房総固有のニホンザルを守れ!
〜交雑防止要望書を知事に提出〜
千葉県自然保護連合は(2013年)2月26日、ニホンザルと外来種アカゲザルの交雑防止に関する要望書を県知事に提出しました。
アカゲザルはアジア大陸原産の特定外来生物です。県が実施した交雑モニタリング調査によって、アカゲザルと房総半島の固有種であるニホンザルの交雑の広がりが確認されました。ニホンザルの生息地で交雑が確認されたのは、千葉県が初めてとのことです。
交雑がこのまま進めば、房総半島固有の遺伝子特性をもつニホンザルは絶滅することになりかねません。ところが、県は交雑モニタリング調査を2011年度で打ち切ってしまいました。
そのため、交雑モニタリング調査の再開と本格的な防止対策の早急な実施を要望しました。
要望書を受けとった今泉光幸・自然保護課長はこう述べました。
-
「(我々は)モニタリング調査をやらない、と言っているわけではない」
-
「今年度(2012年度)は交雑モニタリング調査を実施しなかった。来年度当初予算への調査費計上も見送った。このままでは調査を再開しないのではないか、と心配する声もあがっている。交雑が広がっているのだから、調査を早急に再開してほしい」
以下は、要望書の全文です。
要 望 書 |
2013年2月26日
千葉県知事 森田健作 様
千葉県自然保護連合
代表 牛野くみ子
ニホンザルと外来種アカゲザルの交雑防止に関する要望書
日ごろ、千葉県の自然環境保全にご尽力くださり、お礼申し上げます。
私たちは、房総半島のニホンザルと特定外来生物アカゲザルの交雑が進んでいることに強い危機感を抱いています。
房総半島に生息するニホンザルは千葉県の固有種であり、貴重な野生生物です。県が2008年度から2011年度にかけて実施した交雑モニタリング調査によれば、分析したニホンザル2362匹のうち38匹(オス23匹、メス15匹)、1.6%が交雑だったとのことです。メスの交雑が確認されたことにより、アカゲザルのオスや交雑オスがいなくても交雑が広がる「再生産」の段階に入ったと指摘されています。
ニホンザルの生息地で交雑が確認されたのは、千葉県が初めてとのことです。外来種アカゲザルとの交雑は、房総半島の生物多様性や生態系を脅かす深刻な事態になっています。このまま交雑が進めば、房総半島固有の遺伝子特性をもつニホンザルは絶滅することになりかねません。一刻も早く、アカゲザルの根絶や交雑個体の排除が求められます。
そのためには、広域の交雑モニタリング調査を継続することが必要です。また、その結果に基づき、焦点をあてたアカゲザル・交雑個体の捕獲事業を進めることが必要です。
一刻の猶予もなりません。交雑モニタリング調査の再開と本格的な防止対策を早急に実施してくださるよう要望します。「生物多様性ちば県戦略」を絵にかいた餅にしないでください。
要望事項
- 2011年度で打ち切った交雑モニタリング調査を早急に再開すること。
- 2008年度から2011年度にかけて実施した交雑モニタリング調査の結果に基づき、効果的な交雑防止対策を立案し、実施すること。
★関連ページ
- ニホンザルと外来種アカゲザルの交雑問題で質疑〜県議会予算委員会(2013/2/12)
- 房総のニホンザルの現状(加藤俊也、1998/10)
このページの頭に戻ります
「ニュース」に戻ります。
トップページ | 三番瀬 | ニュース | 自然・環境問題 | 房総の自然 |
環境保護団体 | 開発と行財政 | 自然保護連合 | 書籍・書評 | リンク集 |