★産業廃棄物・残土


県が産廃処分場の不許可処分を通知

〜銚子、海上、東庄にまたがる最終処分場設置計画〜



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 県は(1999年)4月27日、昨年8月に海上町で行われた本県初の住民投票で98%が反対した産業廃棄物最終処分場の設置について、不許可処分とすることを事業者の「伸葉都市開発」(本社・千葉市中央区)に通知した。県は「蒸発散施設が計画通りに機能することは困難と判断した」として、強い反対が示された住民投票については「結論には直接影響していないが、慎重な審査をさせた」と述べた。不許可処分に同社は「法的要件は満たしている。このまま事業を中止する考えはない」と、国への不服申し立てや訴訟を検討していくことを示した。

 同日記者会見した白戸章雄県環境部長は、浄化後の水を河川に流さず処理する蒸発散施設の機能について「他の処分場に例がないため、専門家に意見を聞いて慎重に審査した。結果、計画通りの機能は困難と判断した」と述べた。
 同施設は、処理水を処分場近くの水路に流すことに反対する銚子市の意向を受け、事前協議の中で設置が合意された。計画では1日の蒸発散能力を1平方メートル当たり44.4リットルとしているが、大学教授ら専門家3人が行った実験では、夏季でも最大5リットル程度にとどまるなど、機能に問題があることが分かったという。

 強い反対が示された住民投票が県の判断に与えた影響について白戸部長は、「結論は技術的な蕃査に基づくもので結論には直接影響していないが、慎重な蕃査をさせた」と、あくまで法に定められた構造審査に基づく判断であることを強調した。
 これに対し同社の横山隆専務は会見を開き、「二重の漏水シートや漏水検知システムの設置など、改正法の基準より安全性に優れた施設で、法的要件は満たしている」と県の判断に不満を示した。
 蒸発散施設の機能を不適当とした点について、「専門家の技術審査は良い悪いの判断だけでなく、良い施設を造るためのアドバイスを得られると思っていた」と不許可処分に戸惑いを見せ、「乾燥炉などの工法も打診したが、『事前協議の内容が変わる』として認められなかった」と、法に規定されていない指導要綱に基づく手続きに不満を示した。

 沼田武知事は、今後の産廃最終処分場の許可について、「法令、要綱に基づいて慎重に対応していきたい」とコメント。海上町の穴澤清町長は、「全国的にも数少ない住民投票を実施した町として、町民の意思に沿った結果となり大変うれしい」と語った。


●銚子市に計画の処分場は許可

 一方、県は同日、銚子市松岸に計画されている産廃最終処分場の設置について、市から要望があれば着工前に環境保全対策などの協定を結ぶことを条件に許可した。
 同処分場は「北総技研」(本社・八千代市)が計画する廃プラスチックや金属くずなどを埋め立て処分する安定型処分場で、敷地面積は1万8599平方メートル、埋め立て容量は13万7000立方メートルとなる。1989年に事前協議を申請して98年5月に終了、翌6月に施設の設置許可申請が出されていた。
 同処分場については、地元3首長が昨年10月、「伸葉都市開発」が計画する処分場とともに設置を許可しないよう求める請願書を県に提出していた。


●指導要綱のあり方が焦点に

 (今回不許可となった伸葉都市開発の産廃処分場申請について)
 問題となった蒸発散施設は事前審査という県の指導要綱に基づく手続きの中で、地元との間で設置が合意された。しかし、廃棄物処理法には規定がない。同法は汚水浄化処理施設の設置は定めているが、処理水は環境基準を下回れば河川に流してよいことになっている。
 廃処法と自治体が定める条例や要綱の間の隔たりは小さくない。厚生省は廃処法の改正を受けて「法の規制を超える恐れがある」として、地元同意などを定めた規定の撤廃を要求。これに対し、住民との紛争を懸念する自治体は反発を見せる。
 宮城県では住民が反対する処分場について、要綱を満たしていないことを理由に設置許可申請を不受理。事業者と訴訟になり、一審は県側が敗訴している。今回のケースも事業者が今後、不服申し立てや訴訟という手段を選択した場合、国や裁判所が要綱の存在をどう判断するかが焦点となる。


(千葉日報、1999年4月28日付けより)  





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