オオタカがいなくなった森


千葉県自然保護連合 中山敏則



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 2021年8月、「市野谷の森」を久しぶりに訪れた。かつて私がなんども足を運んだ森である。

 つくばエクスプレス(常磐新線)沿線開発によって市野谷の森(50ha)は半分以上が伐採された。オオタカが生息していたが、伐採や開発によってオオタカはいなくなった。私たちが危惧したとおりになった。

 にもかかわらず、近くの駅の名称は「流山おおたかの森駅」である。県立高校、小中学校、保育園、図書館、郵便局、ショッピングモールなどさまざまな施設にも「おおたかの森」がつけられている。これには失笑した。じっさいは「オオタカがいなくなった森」だからだ。

 東邦大学理学部の長谷川雅美教授(生態・環境学)はかつて、市野谷の森でオオタカの保全区域として25ha弱が確保されたことについてふれ、こう語った。「25haぐらいの林にはオオタカはいない。オオタカが生息するためには、もっと広大な面積が必要」と。「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」が1999年12月に開いたシンポジウム「大規模開発を問う〜オオタカ・谷津田の自然と財政破綻〜」においてである。長谷川教授の指摘はズバリだった。

(2021年9月)










伐採中の市野谷の森。オオタカがすんでいた森は半分以上が伐採された=2002年5月



千葉県野鳥の会主催の「市野谷の森探鳥会」。都市基盤整備公団などが立入禁止の看板をあちこちに立てていた。
野鳥が激減したため、同会は市野谷の森探鳥会を中止した=2005年3月



飛翔中のオオタカの写真を近所の方が見せてくださった。この方はこう語った。
「そのうちにオオタカはいなくなると思い、オオタカの写真を撮りつづけている」=2005年3月



伐採されたところには住宅などがぎっしり建っている。奥に見えるのは、半分以下になった市野谷の森=2021年8月











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