★産業廃棄物・残土


 地元住民の熱意

 行政が動くまでやるゾー!

    〜市原の産廃見学会〜

いちはら市民ネットワーク 井上由紀子


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1.古敷谷(こしきや)

 なんとも由緒正しい地名でしょうか。市原の奥座敷たる山里。秋には錦織なす山のきのこを探して、村中色めき立つそうです。そんな村に降ってわいた産廃の不法投棄。
 年明けの1月から6月まで、およそダンプ3000台のゴミで谷あいの田が埋められられました。ゴミの山から小川に真っ黒く、臭い水が流れ、おたまじゃくしもホタルのえさのカワニナも死にました。すぐ下流は、市原と千葉市民の水道の水源地である高滝ダム。町会でまとまった住民の力によって、6月末にやっと行政が動き、ゴミの搬入を止めました。
 その後の「加茂地区住民宣言」は、市の「不法投棄絶滅宣言」へとつながり、また9月議会での「林道管理条例」制定のきっかけとなりました。が、残ったゴミの山はどうなるのでしょうか。
 田にゴミが積み上げられているのをみて、農地転用の許可をした農業委員会。「資材置き場」との業者の言い分を信じた県と市。行政は不法投棄の手伝いをしたかのようです。そんな行政に対して、古敷谷の人々は団結し、行政の仕組みと法律などを勉強して議会を動かし行政を動かしたのです。  ほかにも同じような場所がたくさんあるので、再びねらわれないためにもゴミの撤去に向けて、私たちも共に考えていきたいと思っています。


2.石神(いしがみ)

 かつては山神様が住んでおられたような地名です。高滝ダムに注ぐ養老川の源流城にあたります。山砂を取ったために、お鰻頭の皮みたいに薄く残った山。あんこにあたる部分は全部ゴミ。なんと、点滴のパックも見えるではありませんか。あまりのゴミの多さに落ち込んでしまいました。
 隣は牛、豚を飼っている畜産団地。両方の汚水は養老川に流れています。アーア! まわりに人家がないし、行政は見てみぬふりをしてきたのでしょう。そんな姿勢がゴミの不法投棄をまねき、現在、市内には14カ所にものぼる産廃の不法投棄場所があります。業者は逃げていたり、会社を倒産させていたりで、どこもそのままになっています。


3.海保(かいほ)

 ここは養老川の中流城にあたり、田園地帯が目前に広がる丘陵地です。谷津が格好の残土処分場としてねらわれ集中しています。海保とその周辺で14カ所にもなります。
 今回見学した処分場は、埋立主=辻和行、面積=1万8334平方メートルです。先日の新聞報道で、県内で始めて林地開発の許可が取り消されたと知り、地元のAさんの案内で見に行きました。ガッカリ。すでに残土で満杯ではありませんか。いまさら許可を取り消しても遅すぎます。田に崩れ落ちた残土は田を埋めたままです。
 ここはあまりに悪質だったため、林地開発が許可取り消しになりましたが、許可条件のとおりにやっているのか、違反しているのか、全く分からないのです。処分場の範囲も一体どこまでなのか、どんな土が捨てられているのかまったくわかりません。事業者が自ら危ない土と記した書類を出すわけはないのですから。どんなに臭って気分が悪くなっても、黄みがかった白い水が流れていても、書類上は「安全な土」なのです。
 県と市は、残土条例をつくってから2年半の間に43カ所もの残土の処分場をつくりました。条例ができて、大量の残土が船で、あるいはダンプで運ばれ、市内の谷津田を埋めつくそうとしています。産廃の混入、土砂崩れなどが後を絶たず、県はこの6月から指導指針をつくって対応しようとしています。事業者は地元住民に説明会を開くこと、住民から申し出があれば協定を結ぶことという内容です。これらをしなっかたらどうするのか、許可の取り消しもありうるのか、あいまいです。指導指針では弱いので、条例の改正を望みます。

(2000年10月)  






古敷谷の谷津田に高く積み上げられた産廃不法投棄の山。盛り土の中には産廃が隠されていた。









不法投棄の山の頂上に登ったら、雨で土が流され、隠されていた産廃が露出しているのが見えた。









古敷谷の地元町会役員の方々が、不法投棄のてん末をくわしく話してくれた。
投棄がはじまったのは今年1月。地元町会の人たちはすぐ県産業廃棄物課や保健所や市原市に通報し、対応を求めたが、まったく動こうとしなかったという。6月に請願が市議会で全員一致で採択され、それでやっと搬入路(林道)の入口に大型ダンプ通行止めの杭が設置されて投棄が止んだ。しかし、不法投棄の山はそのまま。「この問題を通じ、県や市がいかに頼りないものであるかを知った」と、役員の方々は口々に言った。









山砂採取跡地に不法投棄されたゴミの山(石神地区)











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