残土埋め立て
許可取り消しを求める
〜市原市上高根北の谷〜
残土・産廃問題ネットワーク・ちば 井村弘子
■住民の反対を無視し、残土埋め立てを許可
市原市上高根北の谷は、県内にもう何カ所も残っていない景勝すぐれた谷津田である。水がこんこんとあふれ、付近住民の水源にもなっている。
このように住民が飲み水を井戸に頼っているところに、残土を持ってくる。しかも、崖の上には人家が点在している。そのため、地元では残土検討委員会をつくり、「飲み水を守ろう」と、5年間も残土埋め立てに反対してきた。今では付近の18町会も加わり、皆で反対している。
にもかかわらず、今年(2000年)5月17日、県知事は「3分の1の残置森林を残すこと。また、業者は住民と協定を結ぶこと」を条件として、残土埋め立てを許可した。
住民は、協定は結ぶが自分たちの協定条件に一つでも違反があれば「裁判も辞さない」と、住民の意思をアンケートにより確かめ、9月には協定を結ぶ決意を固めていた。
■業者の違反行為発覚
ところが8月初旬、残置森林として残しておく計画になっていた樹齢35〜40年の杉が約100も伐採されていたことが発覚した。林地開発許可書には、「許可条件に従わない場合は許可条件を取り消す」と明記されている。
そこで8月30日、地元残土検討委員会の面々が県と交渉を持ち、産業廃棄物課と林務課に対し、「なぜ取り消しをしないのか」と回答を求めた。違反行為は残置森林の8%に当たる。軽微な変更は取り消しの対象にはならないと書いてあるが、産業廃棄物課の残土規制班は「決して軽微とは思っていない」と言う。
一方、林務課は、「横高3メートル以上の杉の木を200本、埋め立て区域の違反事項には杉苗木300本を植栽し、造成緑地として残すように指導した」と言う。つまり、残置森林計画地に杉を200本、埋め立て予定区域内に杉苗木を300本植えるという指導をするだけで、業者の違反行為を容認したのである。
「直せば許可しますよ」という県の姿勢は、とても納得できない。「まだ許可がでたともいえない失先にこのようなことをする業者には、信用がおけない」「これでは協定なども取り交わせない」と、委員会は激しく迫った。
■お粗末な県審査
〜住民が審査ミスを発見〜
県は、業者に対してどのような内容によって許可をするのか。これがまた、許可前には住民に見せず、許可後に初めて文書の公開手続きを経て手渡されるのだ。これもおかしな話である。公開された文書をみて地元委員会は、「これは横断図と縦断図が違っている」ということを発見した。横断図にないところに、縦断図では計画設計がある。これは重大なミスである。
県はいつも、「条例どおりに書類が100パーセント誤りなく提出されたから、許可します」と言う。しかし、誤りがあったときはどうするのだろう。素人でもすぐに発見できるような誤りも見つけないで審査終了では、あまりにもお粗末ではないか。
やはり許可は取り消すべきと思う。
(2000年9月)
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