盤洲干潟で
サキグロタマツメタガイを多数発見
〜市民調査で「アサリの天敵」を205個採取〜
(2002年)5月3日、「小櫃川河口・盤洲干潟を守る連絡会」(略称・盤洲干潟を守る連絡会)主催の「盤洲干潟学校(観察・学習会)」が終ったあと、10人で移入種「サキグロタマツメタガイ」の採取調査をおこないました。
●「サキグロタマツメタガイ」とは
「サキグロタマツメタガイ」はツメタガイの仲間です。ツメタガイと同じように肉食で、砂に潜ってほかの貝を捕まえ、鋭い歯で貝殻に穴を開けて食べます。このため、「アサリの天敵」となっており、定着すればアサリ漁業に大きな被害を与えます。
この貝の分布域は、本来は中国や朝鮮半島です。日本では、有明海や瀬戸内海の一部の水域にみられるといわれています。しかし近年、潮干狩り場などで価格の安い中国産のアサリがよくまかれていることから、これらに混じってほかのアサリ漁場にも移入されつつある、と専門家は指摘しています。
●「三番瀬に移入の恐れ」と三番瀬円卓会議で論議
船橋漁協(船橋市漁業協同組合)は、盤洲干潟の砂を三番瀬内のアサリ漁場に持ちこんで撒(ま)くという「覆砂事業」を計画しています。この事業にたいして千葉県は1050万円を補助します。
しかし、開催中の「三番瀬再生計画検討会議」(通称・円卓会議)でこの覆砂がとりあげられ、学識経験者や環境団体の委員から「盤洲干潟に生息するサキグロタマツメタガイが三番瀬に持ち込まれる恐れがある」との意見がだされました。いま、この問題をめぐって論議中です。
●1時間余で計205個のサキグロタマツメタガイを採取
9人でサキグロタマツメタガイの簡単調査をおこなった結果、1時間余で計205個を採取しました。大半は殻高が35〜40ミリのものです。岸から200〜800メートルの区域にたくさん分布していました。
サキグロタマツメタガイは足跡を目で確認し、そこをスコップで掘ると簡単に採取できます。アサリを捕食中のものもたくさんいました。
しかし、足跡を目で見てのスコップ採取なので、殻高が約10ミリ以上の比較的大きなものしか採取できませんでした。大がかりな採取調査をやれば、もっとたくさん採取できるはずです。
穿孔のあるシオフキやアサリ、バカガイの死殻もたくさん発見しました。サキグロタマツメタガイに捕食されたと思われます。
卵塊もたくさん発見しましたので、このままではサキグロタマツメタガイがどんどん増えることが予想されます。
ちなみに、桐谷新三さんの話では、盤洲干潟では以前からツメタガイが生息しており、一日7000円の日当を払ってそれを除去しているとのことです。今後は、サキグロタマツメタガイの除去にも金がかかりそうです。
●千葉県水産研究センターの調査結果に疑問
三番瀬円卓会議の議論を受けて千葉県水産研究センターが4月15日に実施した調査では、「30調査点のうち河口流路内の5調査点で6個が発見されただけで、干潟域などでは分布が確認されなかった」「タマガイ類に捕食されたと思われる穿孔のあるアサリ死殻の分布は少なく、全域ではほとんど確認されなかった」とのことです。この調査報告では、卵塊の分布もまったくふれられていません。
しかし、5月3日の市民調査では、わずか1時間余で205個ものサキグロタマツメタガイを採取し、穿孔のあるアサリ死殻や卵塊もたくさん発見しました。
それで、調査参加者からは、「県の水産研究センターはどういう調査をやったのか」「いい加減な調査としかいいようがない」「盤洲干潟の全域で時間をかけてきちんとした調査をやるべきだ」などの声がだされました。
サキグロタマツメタガイはツメタガイの仲間です。ツメタガイと同じように肉食で、砂に潜ってほかの貝を捕まえ、鋭い歯で貝殻に穴を開けて食べます。このため、「アサリの天敵」となっており、定着すればアサリ漁業に大きな被害を与えます。
この貝の分布域は、本来は中国や朝鮮半島です。日本では、有明海や瀬戸内海の一部の水域にみられるといわれています。しかし近年、潮干狩り場などで価格の安い中国産のアサリがよくまかれていることから、これらに混じってほかのアサリ漁場にも移入される恐れが強まっている、と専門家は指摘しています。じっさいに1999年、宮城県の万石浦でサキグロタマツメタガイが大量発生し、アサリの大量死をもたらしました。アサリだけでなく、オキシジミにも大きな被害を与えたそうです。
サキグロタマツメタガイの足跡です。その端っこの盛り上がったところをスコップで掘るとサキグロタマツメタガイが簡単に採取できます。
アサリを捕食中のサキグロタマツメタガイです。この日採取した205個のうち、2割ぐらいがアサリやシオフキ、バカガイを捕食中でした。
穿孔のあるシオフキ、アサリ、バカガイの死殻もたくさん発見しました。サキグロタマツメタガイに捕食されたと思われます。
サキグロタマツメタガイの卵塊です。干潟のあちこちでたくさん発見しました。
1時間余で、205個のサキグロタマツメタガイを採取しました。大半は殻高が35〜40ミリのものです。岸から200〜800メートルの区域にたくさん分布していました。
★関連ページ
- サキグロタマツメタガイが盤洲干潟で繁殖中〜盤洲干潟の砂を三番瀬へまくのは危険(御簾納照雄)
- 現況調査や覆砂事業などを議論〜第1回三番瀬「海域小委員会」(2002/4/26)
- 円卓会議無視の個別事業実施に批判〜第3回三番瀬再生計画検討会議(2002/4/17)
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